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『 暫くは、阿部さんの傍から離れないでいてあげてください 』





2日間も俺を見てくれなかったあべちゃんが、
さっき、ようやく目を覚ました


地方にいて中々お見舞いに来られない
あべちゃんのご両親の代わりに、
事故からのこの2日間ずっと通ってたけど

目を覚ましたらそれで良いわけじゃない事くらい
ちゃんと、分かってたはずだった





蓮『 痛いとこ、ない? 』


亮『 目黒って、そういう小学生みたいな質問真顔でしてくるよね 』

『 笑うと痛むからやめて 』


蓮『 え、貶されてる?今 』


亮『 超褒めてるよ? 』

『 そういうところが好きなんだもん 』


蓮『 そう? 』





このまま目を開けなかったらどうしよう
唯一、生きてると証明してくれてるこの機械が
突然止まったらどうしよう

そんな不安を感じていた俺を余所に
なんにも変わらないあべちゃんがそこにいて
俺はすっかり安心しきっていてしまった



2日間で増えていた、空を見上げる時間も
とっくにどこにも無くなっていた







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前後左右、どこを見ても泣いている人ばかりで
あぁ、誰からも愛される凄い人だったんだなぁと
なんでか、涙1粒も流れない俺はぼんやり考えていた




大『 めめ? 』


蓮『 …佐久間くん、ふっかさん… 』


辰『 ちょっと外出ようぜ 』


大『 あべちゃん、晴れ男だから 』

『 空、ちょーキレーだよ 』


蓮『 ……そっか、ありがとう 』





あべちゃんの同期として、紹介されてから
俺まで良くしてもらって、すげぇいい人たちなの

あべちゃん嬉しそうな顔で
2人を紹介してくれた、あの日を思い出した。



式が終わっても、動く気配もない俺を見かねて
外に連れ出そうとしてくれる2人に甘えて

久々に空を見上げた





辰『 俺、めちゃくちゃ雨男なのに 』


大『 へへへ、大事なプレゼンの日毎回雨だったよね、ふっか 』


辰『 書類びしょ濡れにしたの、懐かしいな 』


大『 それからだっけ、あべちゃんが予備の書類コピーしておいてくれるようになったの 』


辰『 そーそー、めちゃくちゃ弄られたからね 』


大『 意外と辛辣なこと言ったりね 』


辰『 可愛い顔して言うから怖ぇよなぁ 』





佐久間くん、目腫れてる
ふっかさんもずっと声震えてるし

…優しいな、


俺の為に笑ってくれてる。






蓮『 ……あい、たい、… 』


辰『 目黒… 、 』





病室で見上げてた空なんかより、
ずっとずっと綺麗な空が、余計心に染みた









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作者名:rui | 作成日時:2021年1月16日 10時

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