幸 ページ29
「初めて会った時、君に…死んで欲しくないと思った。君が気になって気になって仕方が無かったのだよ」
淡々と話していく彼、けれど流石に身が持たないのだろう。掴まれている手はどんどんと手首から手の平、指先へと滑り落ちた。
「君は、私の事を好きと言ってくれた、それに嘘偽りは無いのかい？」
『本当の事だよ』
苦しそうな表情だった筈なのに、彼は微笑みだし目を合わせ一言一言、大事に発した。
「それならば、生きてほしい。これから先、何十年と幸せに。
私は…君となら、生きても善いと思えたのだよ。
君。いいや、Aくん。君は私となら生きてもいいと思えるだろうか」
『……そう、だね、太宰さんとならもう少しだけ、生きても良いかな…』
「それならばきちんと私の手にしっかり掴まって。一気に引き上げよう。もう持ちそうに無いのだよ」
1、2の3で一気に引き上げた彼は大きなため息と共に地面にヘタリと座り込んだ
一方私は本当にこれで良かったのかと疑問を浮かべてしまったが、太宰さんのあの"好き"という言葉を思い出し恥ずかしくなってしまった。
「…照れてるのかい？」
『違う！！！』
彼はえー？と残念そうにしてるけれど、太宰さんはそれだけ無駄に勘が鋭い
「それならばハッキリと云う事にするよ。A、好き。好きだよ。」
目を合わせてハッキリと云ってくるものだから…ずるい、
『うん、…わ、私も』
「それでそれで、私も何？」
あからさまに言わせようとしている太宰さん
私は何回も言っているのに、
『太宰さんが、好き…！』
「動揺しすぎじゃないか」と笑われたものだから不思議と笑いが込み上げてきた
「結婚を前提にだね」
『うん。太宰さん、10年20年に限らずと、私の人生を貰ってよ？』
「嗚呼、其のつもり。」
すっかり疲れた2人は仲良く手を繋ぎ、夜を渡って家に到着した。
そして仲良く寝る支度をし、仲良く眠りについた。
今考えてみると夢だったのかもしれない
いいや。夢みたいな現実だった
そして朝に眠りから覚めると、2人は笑い合いながら「おはよう」と云う。
2人で
食卓を囲み「いただきます」
食べ終わり「ごちそうさま」
夜眠る前に「おやすみ」
朝に起きて「おはよう」
時が経ち
2人じゃなく、3人、4人で云う。
そして更に時間が経ち3人、最後に2人
10年、20年
＿＿＿その先の未来も幸せに
−−−−−−−fin−−−−−−−
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抹茶みかん(プロフ) - ねのさん» うわぁぁぁ！ありがとうございます…！！！！初めてコメント頂きました、！そう言って貰えて本当に嬉しいです！これからも更新していきますね！ (2023年5月2日 22時) (
レス) id: 9dacbb6ae3 (このIDを非表示/違反報告)
ねの - 最近読み始めました。とっても面白いです！ 続き待ってます！作者様のペースで更新頑張ってください！ (2023年4月30日 22時) (レス) @page27 id: 316392659a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶みかん | 作成日時：2023年2月13日 1時
