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彼が渡して来た1杯のウィスキーを勢い良く口に含む




鼻から所謂アルコールの匂いが抜けていく
アルコールの大人の味に驚き反射的に呑み込む




当然、眉毛が八の字になるが、其れを笑いながら「味はどうだい?」と聞いてくる太宰さん




太宰さんなら絶対に解っているだろうに…


 


『どうだい?じゃ無いですよ、凄く苦い…』




何かで口直ししたい所だが生憎何も持ち合わせていない
況てや車の中で練炭を炊く所で今から口直しの物を買いに行くだなんて、覚悟を決めたのだから論外だ


 



「やれやれ、可哀想なAくんの為に飴玉を1つ持っているよ。欲しいかい?」



そう云い、太宰さんは持っている飴玉をチラつかせる
善く見てみると私の一番好きな(ピーチ)味だった
口の中の苦さを消す為ならば何でも善いと思っていたが、(ピーチ)味と来たらガッツいて仕舞うのも無理は無い




「Aくんの好きな(ピーチ)味だ。欲しくないのかい?要らないのなら私が食べて仕舞うよ」




『…何故私の好きな味を知っているんですか』




「前にAくんの家に訪れた時、(ピーチ)味の飴玉が沢山あったのだよ」




家に勝手に入るだなんて…と思ったがこの事を突っ込んで仕舞ったら飴玉を貰えないと思い何も言わない事にした




『兎に角、飴玉下さい!』




"可哀想な"と云われたがプライドなど今更気にしている場合でも無い


 


「其れなら、口を開けてくれ給え」




『口?』


何故口なのだろうか
ぼんやり考えていると太宰さんが助手席にいる私の方へ身を乗り出してきた




『だっ、太宰さん…?』




離れて見ても太宰さんの容姿は妍麗だと云うのに、まじまじとより近くで見ると一層美しい顔立ちだ。


余りの近さにドアに凭れ掛かる程後退りするが更に、また更にと距離を詰めて来る


 


「何故後退りなんかするのさ。逃げて善いだなんて私云っていないよ?」


 


そう云い、太宰さんは其の儘私の頬に手を添え、飴玉を反対の手で口元へ持ってくる




恥ずかしいので早く口を開けて飴玉を貰おうとするが、彼は私が口を開けた直後、舌に触る勢いで口の中へ飴玉を入れた



けれど苦しくはなく、驚きが勝り、目があちらこちらに泳いでしまう
飴玉は優しく口へ入れてくれたのだろう




而して口から手を離したかと思えば飴玉を持ち続けていた為、溶けたのか太宰さんは其の儘指先を舐める


 


「甘いね」

魔→←飲



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設定タグ:太宰治 , 文豪ストレイドッグス , 文スト   
作品ジャンル:恋愛
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抹茶みかん(プロフ) - ねのさん» うわぁぁぁ!ありがとうございます…!!!!初めてコメント頂きました、!そう言って貰えて本当に嬉しいです!これからも更新していきますね! (2023年5月2日 22時) (レス) id: 9dacbb6ae3 (このIDを非表示/違反報告)
ねの - 最近読み始めました。とっても面白いです! 続き待ってます!作者様のペースで更新頑張ってください!  (2023年4月30日 22時) (レス) @page27 id: 316392659a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:抹茶みかん | 作成日時:2023年2月13日 1時

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