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ページ14

『凄く綺麗!』




車酔いも忘れてしまう程、海に見入ってしまった




「喜んで貰えたなら良かったよ。あのベンチに座って休憩しないかい?」



近くのベンチを指さす太宰さん
奇遇にも同じ事を考えていた。
ベンチに2人で腰掛ける


 



海辺だからだろうか、風がヒヤリと肌の熱を奪っていく
寒さで身震いが止まらない



そんな私に気づいたのか無言で香色の外套を掛けてくれる


 


『ありがと。』



「Aくんが寒そうにしてるのが見ていられなくてね」


 


何故だろう
今日の彼は紳士に動いたり優しくしてくれる
気が狂うでは無いか
"好き"とも云えなくて、なのに"ありがとう"もぎこちなくなってしまうなんて




然し乍ら今日は最後の日だ




一酸化炭素を吸い苦しくなってきた時、君に"好き"と云う事が出来るだろうか




いいや、今は最後の絶景を眺めるとしよう




 




 


「却説、そろそろ車に行こうじゃないか」




『そうだね』



太宰さんの背中を追いかける

この様に話す事など最後の筈なのに、
沈黙が流れ
コツコツと車へ向かう足音を強く感じる




彼はどの様な顔をしているのだろう



顔を覗こうと太宰さんの横に並ぼうとした時、彼は私の方へ振り向いた



「さぁ、おいで。」




太宰さんはそう云い、私を車の中へ連れ込んだ
どうやら練炭の準備は出来ているらしい




「其れと、覚悟は出来ているのかい? 二度と後戻りは出来ないよ」




まるで忠告するかの様な真剣な声と顔だった
死とは人生のピリオドなのだから、この様に云うのも無理は無い
けれど、余りの真剣な顔に少し怖気付く



『…勿論です』



 


「ならばこうしよう」




太宰さんが何か取り出したと思えば其れは
お酒だった





『太宰さん!? 私お酒飲めないです。未成年飲酒反対!』




お酒だなんて…私が飲むには2年早い




「偶にはこんな事も善いじゃないか」



『善くない!!』



先程迄真剣だったのが見違えたかのように呑気になり出す太宰さん


一体何を考えているのだか……




「最後の頼みだと思って聞いてくれないかい?」




太宰さんの目が光り輝いている
こうやって女性を翻弄してきたのだろう




『……仕方ないですね、1杯だけですよ…?』





"仕方なく"承諾した途端、子供の様に喜び出す彼
表情が転々(コロコロ)変わるなぁ…と改めて思う


 

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設定タグ:太宰治 , 文豪ストレイドッグス , 文スト   
作品ジャンル:恋愛
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抹茶みかん(プロフ) - ねのさん» うわぁぁぁ!ありがとうございます…!!!!初めてコメント頂きました、!そう言って貰えて本当に嬉しいです!これからも更新していきますね! (2023年5月2日 22時) (レス) id: 9dacbb6ae3 (このIDを非表示/違反報告)
ねの - 最近読み始めました。とっても面白いです! 続き待ってます!作者様のペースで更新頑張ってください!  (2023年4月30日 22時) (レス) @page27 id: 316392659a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:抹茶みかん | 作成日時:2023年2月13日 1時

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