Baroque2 (ページ27)

今日:21 hit、昨日:1 hit、合計:63,097 hit

27 ページ27

「本当に久しぶりです、こんなふうに町に出るのは」

G「こんなふうに？」

「グレタとしてですよ」

G「それ以外は何かあるのか？」

「今朝コン教官と来ました」

ゴールドは一瞬背筋が凍ったように静止した

G「な、なんの目的で…？」

「それは…内緒です！」

笑いながら答えると

G「教えてくれてもいいだろー？」

「ダメでーす」

やはり一定距離は保っているが会話は弾んでいる

G「じゃあ…」

するとゴールドは噴水に腰掛ける

G「俺の話、聞いてくれよ」

「はい…いいですけど」

G「まぁ…俺の友達の話になるだが、そいつさ俺と同じで家が医者の家系だったんだよ」

Aは真剣な顔で

「カッテーナさんですか？」

G「いや兄貴じゃない、医者としての腕は良かったんだが…周りのプレッシャーが凄くてな…」

「落ちこぼr…」

G「だから兄貴じゃないって…」

噴水に腰掛けて話すゴールドと隣の石垣に腰掛けて聞くA

G「出来なくなったんだよ、医者の仕事が」

「それって…」

G「あの頃のアイツは…一言でいえば精神的に病んでた、人とも話さないし笑わない、部屋に籠りっぱなしで…人生を諦めてた」

「それで…その人は？」

そう言われるとゴールドは優しく笑って

G「今は元気にやってる、医者としての働きも少しずつしてるし」

「立ち直れたんですね」

G「アイツの場合は親とか指導者じゃなくて、新しい仲間が閉ざした心を開けてくれた、まぁ開け方には色々あったけど…」

するとゴールドはAの前に移動して手を差し出した

G「俺が思うに、Aにもアイツみたいに沢山の味方になってくれる仲間がいる、だから俺じゃなくてもいい、チャンウーだっていいし、ロレッタだっていい、もちろんマンマや教官でもいいから嫌なこと、嬉しかったこと、なんでも良い、話して、笑って、前に進んでいこうな…！」

Aは目に涙をためてゆっくりと手をとった

その手は少し震えていたがゴールドは優しく握り

G「待ってるからな」

「…はい……！」

G「うん、いい返事だ！」

手を離すと

G「さぁて、ゆっくり周るか？」

「ゴールドさんに任せます」

G「了解、今更だけど…"さん"は付けなくていいぞ」

「そ、そうですか」

G「うん、ほら言ってみろ？」

「ゴールド…？」

G「なんかカタコトだな…！」

「慣れるまで時間が…」

G「いいよ、まぁ時間は早いほうが嬉しいけどな？」

「なかなか厳しいですね」

G「まあな」

再び歩き出す2人