Baroque2 (ページ21)

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K「ったく…夜も暑いな」

潮風にあたりながら愚痴をこぼす

K「なぁ…俺が父親って名乗っていいのか？」

今は亡き親友に話しかけているようだった

K「あの子は…お前の子で、俺は数年間育てただけだ…なのに俺は、自分の娘みたいに気にかけて…俺は父親じゃないってのに…！」

葛藤するコン教官を包むように風が吹く

K「はぁ……お前は…嫌だよな、娘を取られたら」

親友に対する罪悪感で育ての親であることを告白出来なかった

その時

『あの子は…お前を必要としてる』

そんなふうに聞こえた気がした

K「だけどな…！」

『あの子を頼んだのは俺だ、それはこれからも同じだろ？』

K「お前…」

『感謝するぞ、親友』

風の音だったのか、親友の声だったのかは分からないが

K「いいのか…？俺で…」

静かに吹く風に問いかけても、もう返事はない

K「自分で決めろってことか…手厳しいな相変わらず」

明日、Aがどんな選択をするのか…

コン教官は見守るだけだと思っていた

だが

Aは翌朝早く

(コンコンコン)

「教官？」

(ガチャ)

K「早いな」

「少しいいですか？」

K「あぁ…場所を変えてな、ポンが起きる」

「はい」

コン教官はAを町に連れ出した

早朝の町は薄紫色に染まっていた

「教官…どこへ？」

コン教官は何も言わずに歩く

「あ…あの」

Aが歩いてる道は歩き慣れてるものだった

「ここ…って…」

それはAが住んでいた家

何も言わず中へ入っていくコン教官

「どうして…」

バルコニーに向かうコン教官を追いかける

そしてバルコニーへ出ると外をじっと見つめていた

「どうして…この家を…」

後ろ姿の教官に話しかける

K「ここで育ったんだ」

「え？」

K「君だよ、赤ん坊だった君は…この家で…」

「だって…ここは私が住んでた…」

K「赤ん坊の君と…一人の男が住んでた」

「それって…父のことですか？」

コン教官は首を傾げながら

K「さぁ…君はそう思ってくれてたのかもな」

「え…？」

Aは後ろ姿を見て、あの日の父の姿を思い出した

「まさか…」

K「ずっと…」

Aを優しく見つめながら振り返ると

K「ずっと待っててくれたんだよな…？」

コン教官はそう言うと両手を広げた

K「ごめんな…約束が遅くなっt…」

(バフ…！)

気がついたらコン教官にしがみついていた

(ぎゅっ…！)

「パパ…‼」

K「ありがとうな」

「おかえり…‼」