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「さて、洗いざらい吐いてもらおうかノヤっさん」
「…なんのことだよ」
「とぼけんじゃねぇ〜!」
部室に戻るなり、龍からこんな調子で凄まれ、思い切りタオルを投げられる。それが顔面に当たるもんだから、思わずこちらもムキになる。
「いった!何すんだ!」
「何なんだよ今日のオメーは。話しかけてもうわの空、つまんねーミスだって連発しやがって。何ぼーっとしてんだ、絶対なんかあっただろ」
「…別に何もねーよ」
「吐け!」
「嫌だ!」
ぼーっとしていた自覚はある。心当たりは十二分にあったが、吐くってったって、何から話せばいいのやら。龍と俺の間にピリピリした空気が流れる中、スガさんが間に入ってくる。
「まあまあ、田中だって野次馬根性で聞いてるわけじゃないだろ。ぶっちゃけ変だったぞ、今日の西谷」
「……自分でもわかってます。スンマセン」
「無理に話せとは言わないけどさ。心配くらいさせてやれよ、田中にも、んでもって俺らにも」
「スガさん…」
さっきのことを話すのは少し、いやだいぶ気恥ずかしいが、モヤモヤを無理やり閉じ込めておくのも体に悪い気がした。深呼吸を一つついたのち、俺は図書室での出来事を部室にいる人間に話すことにした。
「…球技祭あるじゃないッスか、今月末」
「あー、球技祭なあ」
「男子ってサッカーとバスケなんですよね!いいなあ〜、俺もバレーやりたかった!」
翔陽がいかにも残念そうに眉を潜める。バレー部として考えていることは一緒なのか、その話題が全員に広がっていく。
「種目決めたやつは男子バレー部の気持ち考えたことあんのか?」
「ほんとですよね、オーボーだ!校長に直談判してこようかな」
「えー、僕は行事でまでバレーやりたくないです」
「月島は黙ってろ!」
やいのやいのと騒ぎ出し、収集がつかなくなる。いつもは俺もあちら側だが、いざ話のまとめ役になったとなると非常に困った。すると、スガさんがバン、と床に手を打ち付けた。
「西谷が喋ってる途中でしょうが!」
スガさんのいつかのドラマのセリフのような怒鳴り声ですぐさま静かになる。この人、たまによくわかんねえんだよな、なんて思いながら、話を再開した。
「……そんで、同じクラスの女子が」
「女子がぁ!?」
「バレー教えてほしいって」
「はぁあ〜〜!?!?」
先程まで一瞬とはいえ静かだった部室が、また蜂の巣をつついたように騒がしくなった。
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みな(プロフ) - 星流さん» コメントありがとうございます!恋愛小説で1番の褒め言葉だと思います…! (2020年8月12日 14時) (レス) id: 0cef88b6a2 (このIDを非表示/違反報告)
星流 - キュンキュン止まりません! (2020年8月11日 22時) (レス) id: a0acb0a3f9 (このIDを非表示/違反報告)
みな(プロフ) - ねぎ塩さん» 私にもったいないくらいの長文コメントありがとうございます…!本当に嬉しいです そのようなことを言ってもらえて二次創作やっててよかった…と改めて思えます モチベーションめちゃくちゃ上げてくださって本当にありがたいです…!これからも応援宜しくお願いします! (2020年7月25日 12時) (レス) id: 0cef88b6a2 (このIDを非表示/違反報告)
ねぎ塩(プロフ) - 既にキュン死しすぎてお腹いっぱいです。一旦落ち着こう、と目次を見返すと、まだまだ山のようにお話があって、しかもシリーズ化している…!!!こんなに素敵な作品をまだまだ読めることが最高に幸せです、、、! (2020年7月25日 3時) (レス) id: b9a3808d09 (このIDを非表示/違反報告)
ねぎ塩(プロフ) - なんど携帯を伏せて、ノヤっさん!!!すきーーー!!!と悶えたかわかりません。主人公の前では明るく何もないように振る舞っていても、裏では意識しまくってるとか、ほんと、しんどいです…。今14話まで読んだところなのですが→ (2020年7月25日 3時) (レス) id: b9a3808d09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みな | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/nymn624
作成日時:2020年2月13日 3時