▼42. ページ43
.
タイムアウトが終わり、試合が再開する。体が揺れるほど動悸を繰り返す心臓を押さえながら、コートを真っ直ぐ見下ろすと、嶋田さんからぽんっと背中を叩かれる。
「ナイス声援!」
「…あ、ありがとうございます……」
「ま、俺らは祈るしか出来ない!精一杯神頼みしたろ。まあ練習試合だけどな」
「はいっ、します!」
鼻息を荒げてそう言うと、嶋田さんはからからと笑った。
ホイッスルが鳴り、相手側のサーブからラリーが始まる。西谷くんがレシーブを返すも若干起動が乱れる。
「スマン、カバー頼む!」
「影山!」
なんとか影山くんにボールが上がり、スパイカーにトスが上げられるかと思われた。しかし、ボールは既に相手側のネットの真下に落ちていた。またしても何が起こったのかわからないまま、瞼をしぱしぱと瞬かせた。
「ナイス影山〜!」
「出た、いやらしツーアタック!」
「腹立つな〜!」
「アザッス!」
「褒めてねえよ!いや褒めてるけども!」
チームメイトに囲まれる影山くんを見ながら、先ほど起こったことを脳内整理する。トスを上げると見せかけて攻撃、所謂フェイント攻撃だったのか。ツーアタック、そう言われていた。相手の意表を付くには最適な攻撃。またしても影山くんの神がかった技術を目の当たりにし、息を呑んだ。
それが、烏野の逆転の合図のように思われた。狙った獲物は逃さない、そう言った様子で烏野バレー部は相手チームを睨み付けた(主に田中くんが)。
折れる様子なんて見せず、むしろ積極的に逆境に立ち向かっていく彼らの姿に身震いした。
「(頑張れ…!)」
気付けば、両手を組んで、目を閉じながら必死に祈っていた。公式戦ではない試合だとしても、これも私が憧れる人たちが歩む軌跡なのだから。
.
790人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みな(プロフ) - 星流さん» コメントありがとうございます!恋愛小説で1番の褒め言葉だと思います…! (2020年8月12日 14時) (レス) id: 0cef88b6a2 (このIDを非表示/違反報告)
星流 - キュンキュン止まりません! (2020年8月11日 22時) (レス) id: a0acb0a3f9 (このIDを非表示/違反報告)
みな(プロフ) - ねぎ塩さん» 私にもったいないくらいの長文コメントありがとうございます…!本当に嬉しいです そのようなことを言ってもらえて二次創作やっててよかった…と改めて思えます モチベーションめちゃくちゃ上げてくださって本当にありがたいです…!これからも応援宜しくお願いします! (2020年7月25日 12時) (レス) id: 0cef88b6a2 (このIDを非表示/違反報告)
ねぎ塩(プロフ) - 既にキュン死しすぎてお腹いっぱいです。一旦落ち着こう、と目次を見返すと、まだまだ山のようにお話があって、しかもシリーズ化している…!!!こんなに素敵な作品をまだまだ読めることが最高に幸せです、、、! (2020年7月25日 3時) (レス) id: b9a3808d09 (このIDを非表示/違反報告)
ねぎ塩(プロフ) - なんど携帯を伏せて、ノヤっさん!!!すきーーー!!!と悶えたかわかりません。主人公の前では明るく何もないように振る舞っていても、裏では意識しまくってるとか、ほんと、しんどいです…。今14話まで読んだところなのですが→ (2020年7月25日 3時) (レス) id: b9a3808d09 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みな | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/nymn624
作成日時:2020年2月13日 3時