▼4. ページ5
.
バレーを経験して接点を作る。
そう決めたとはいえ、具体的に何をしたら良いのか皆目検討もつかなかった。せっかく捕まえたチャンスなのでなんとか物にしたいところだが、当然ただバレーに根を詰めるだけでは彼との仲は進展しないのだ。
しかも、ずば抜けてバレーが上手いのならまだしも、バレーどころかまともにスポーツすら嗜んだことのない私など、彼の目に止まるはずもない。いっそ、プロレベルを目指す勢いでバレーの練習に命をかけてしまおうか。なにをばかなことを、そう思いながら友達にぼやく。
「…どうしたら上手くなんのかな、バレー」
「そりゃ、素人は教えてもらうしかないでしょ」
「……教えてもらう」
女バレの人たち、怖そうなんだよなあ。とっつきにくそうだし、ミスしたらものすごく怒られそう。せめてバレー経験者に友達がいれば、なんて思っていた刹那、ものすごい考えに行きついてしまった。
何故今まで思いつかなかったのだろう。
「そうだよ、教えてもらえばいいんだよ！」
「さっきそう言ったじゃんか」
なんの前触れもなく現れた近道に、私はなんの考えもなしに飛びついた。『彼にバレーを教えてもらう』というなんとも大胆な作戦が、私の頭の中で発足された。
*
全ての授業が終了し、クラスメイトがわらわらと思い思いに動き始める。ナチュラルに話しかけるタイミングとしては、最も最適な時間だろう。
とは言ったものの。
「(どうやって話しかけたらいいかわからない…！)」
伊達に片想いを拗らせているわけじゃない。そう簡単にほいほいと話しかけられるくらいなら、とっくに関係は今以上に進展しているはずなのだ。自分の意気地の無さを改めて省みて、軽く自己嫌悪に陥った。
そうこうしているうちに、図書委員会のシフトの時間が迫ってきてしまい、彼も部活に行ってしまった。
＿＿＿ほんとダメだな、私。1年から何にも変わってないじゃん。
深いため息を吐きながら荷物をまとめ、図書室に向かう。テスト前というわけでもないから、放課後の図書室を使う人なんて誰もいない。1人きりの空間。勢い余ってスクールバッグを床に投げ、大きく独り言ちる。
「あ〜もう、バカ！」
「え？」
背後から、何者かの気配、そして声。まずい、独り言、聞かれてしまった。なんとか取り繕おうと慌てて振り返った瞬間、私は言葉を失った。
「あれ、皆川？」
「………に」
西谷くん。
紛れもなく、1年間焦がれ続けていたその人が、私の目の前に立っていた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 790人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みな(プロフ) - 星流さん» コメントありがとうございます！恋愛小説で1番の褒め言葉だと思います…！ (2020年8月12日 14時) (
レス) id: 0cef88b6a2 (このIDを非表示/違反報告)
星流 - キュンキュン止まりません！ (2020年8月11日 22時) (レス) id: a0acb0a3f9 (このIDを非表示/違反報告)
みな(プロフ) - ねぎ塩さん» 私にもったいないくらいの長文コメントありがとうございます…！本当に嬉しいです そのようなことを言ってもらえて二次創作やっててよかった…と改めて思えます モチベーションめちゃくちゃ上げてくださって本当にありがたいです…！これからも応援宜しくお願いします！ (2020年7月25日 12時) (レス) id: 0cef88b6a2 (このIDを非表示/違反報告)
ねぎ塩(プロフ) - 既にキュン死しすぎてお腹いっぱいです。一旦落ち着こう、と目次を見返すと、まだまだ山のようにお話があって、しかもシリーズ化している…！！！こんなに素敵な作品をまだまだ読めることが最高に幸せです、、、！ (2020年7月25日 3時) (レス) id: b9a3808d09 (このIDを非表示/違反報告)
ねぎ塩(プロフ) - なんど携帯を伏せて、ノヤっさん！！！すきーーー！！！と悶えたかわかりません。主人公の前では明るく何もないように振る舞っていても、裏では意識しまくってるとか、ほんと、しんどいです…。今14話まで読んだところなのですが→ (2020年7月25日 3時) (レス) id: b9a3808d09 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みな | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/nymn624
作成日時：2020年2月13日 3時
