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ちゃんと「何もない感じ」を装えていただろうか。思わず先ほど降った右手を凝視する。
昨日の今日ので、皆川に対して何も感じないわけもなく、部員からの冷やかしも兼ねて、俺は完全に彼女を意識してしまっていた。この感情に何という名前が付いているのかがわからないのがまたモヤモヤした。昨日、しつこく言われまくった単語をぼんやりと思い出す。
『脈アリなんじゃないの?』
ああもう、スガさんめ。何であんなこと言うんだよ。本当にバレーが上手くなりたいだけなのかもしれないんだろ。そりゃバレー部の俺に頼みもするわ。仲良くなりたいって言われたのも、友達になりたい意外に意味はないだろ。それ以上でも、それ以下でもないはずだ。
それでも、考えてしまう。先輩たちが言うことが正しいのだとすれば。皆川は、俺のこと___。
「…あ〜もう、わかんねぇ!」
「何がですか、西谷くん」
そこで、ようやく俺は、今現在授業中であることを思い出すのであった。いきなり大声を出してたので、教室中の注目を集めてしまう。教科担当の教師のメガネが冷たく光る。
「そんなに先生の説明が分かりにくいですか?」
「…い、いや、その、考え事してた、っつーか…」
「授業に集中しなさい、脳みそまで筋肉になったらおしまいですよ」
「す、スンマセンッ」
教師の話し方がツボにハマったのか、教室中がドッと沸いた。くそ、バカにしやがって。恥ずかしさのあまり頭を抱えて、笑い声が収まるのを待った。やらかした、皆川にも見られたよな、なんて思いながら彼女の方をちらりと見ると、しっかりと視線が合ってしまった。
皆川は一瞬戸惑ったような表情を浮かべたが、すぐさまぎこちない笑顔を浮かべて軽く手を振ってきた。
脳裏に浮かんだ、「可愛い」という単語に知らないフリをして、俺も小さく手を振り返した。そうすると、皆川はあからさまに嬉しそうな顔をしながら両頬を押さえた。
「(…なんでそんな顔すんだよ、気が変になる)」
俺は、火照った頬に手をやりながら、真面目に授業を聞くフリをした。もちろん、内容は全く頭に入らなかった。
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みな(プロフ) - 星流さん» コメントありがとうございます!恋愛小説で1番の褒め言葉だと思います…! (2020年8月12日 14時) (レス) id: 0cef88b6a2 (このIDを非表示/違反報告)
星流 - キュンキュン止まりません! (2020年8月11日 22時) (レス) id: a0acb0a3f9 (このIDを非表示/違反報告)
みな(プロフ) - ねぎ塩さん» 私にもったいないくらいの長文コメントありがとうございます…!本当に嬉しいです そのようなことを言ってもらえて二次創作やっててよかった…と改めて思えます モチベーションめちゃくちゃ上げてくださって本当にありがたいです…!これからも応援宜しくお願いします! (2020年7月25日 12時) (レス) id: 0cef88b6a2 (このIDを非表示/違反報告)
ねぎ塩(プロフ) - 既にキュン死しすぎてお腹いっぱいです。一旦落ち着こう、と目次を見返すと、まだまだ山のようにお話があって、しかもシリーズ化している…!!!こんなに素敵な作品をまだまだ読めることが最高に幸せです、、、! (2020年7月25日 3時) (レス) id: b9a3808d09 (このIDを非表示/違反報告)
ねぎ塩(プロフ) - なんど携帯を伏せて、ノヤっさん!!!すきーーー!!!と悶えたかわかりません。主人公の前では明るく何もないように振る舞っていても、裏では意識しまくってるとか、ほんと、しんどいです…。今14話まで読んだところなのですが→ (2020年7月25日 3時) (レス) id: b9a3808d09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みな | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/nymn624
作成日時:2020年2月13日 3時