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冷静に口を開いたのは飯野君だった。
口調はとても淡々としていたけれど、その言葉の奥に深い熱と野望が垣間見えた。

「もちろん、資金面でもサポートできるようにする。ただ、それを実質動くには現場の人間が必要だ。無論、僕は現場の人間ではないから動けない。」

すると上司がこちらに視線を向け、さらに言葉を続ける。

「そこで、今日彼女を連れてきたというわけだ。紹介する。弊社のAだ。」

「はじめまして。AAと申します。」

メンバーの目線がこちらに向けられる。

岩田君はどこか冷めたような笑顔で、土井谷君は無表情、飯野君は不穏な感じ、
西尾君と須藤君はニコニコしながら挨拶を交わす。

「弊社に入社して3年目だが、仕事は優秀だ。何より彼女もクリエイターを目指していた時期があった。そんな背景もあって、君達の担当マネージャーとして彼女を抜擢している。」

”クリエイターを目指していた時期があった”
−−−その言葉に一番の反応を見せたのは飯野君だった。

「クリエイター…目指されていたんですね。」

「まあ…もう学生の時の話なので…かれこれ3年以上経ってしまいましたけどね。今はもっぱら視聴者側です。」

「そうなんですね。」

「はい。学生の頃に志そうと思った時期があったんですが、企画力があまりにも乏しくて…挫折しちゃって。」

「へぇー…。そういう人、多いですよね。企画力がないからって、すぐに諦める人。YouTuberって機材さえあれば誰でもなれる職業だって思われがちだから、少しでも興味があると手を出すけど、結果どんな動画を上げていいかさえ分からなくて、すぐに手離す。」

「…え?」

「おい、飯野。」

急な飯野君の棘のある発言に、岩田君がその場を制する。

「…前も話したけど、俺は所属には全然賛成するよ。後はお前らの判断に任せるよ。」

飯野君はそう言うと、パソコン片手に部屋を出て行ってしまった。

***

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設定タグ:だいにぐるーぷ , YouTuber   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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左右 - 凄く読みやすく、話の展開が面白いです!更新たのしみに待っています。^_^ (1月4日 0時) (レス) id: 19deca591e (このIDを非表示/違反報告)
zx2to5(プロフ) - とても読みやすくて面白い作品ですね!大変かと思いますが更新心待ちにしております。 (2020年10月22日 22時) (レス) id: 6bc55a23b1 (このIDを非表示/違反報告)
つばめ(プロフ) - 日和さん» 日和さま、ありがとうございます!更新頻度遅めですが、結末迎えられるように気長に頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。 (2020年10月11日 2時) (レス) id: 02f4987028 (このIDを非表示/違反報告)
つばめ(プロフ) - まぐろさん» 返信が大変遅くなってすみません…。ありがとうございます!励みになります(涙)更新頻度かなり遅いですが、気長に続けていこうと思っていますので、末永く見守ってくださいませ。 (2020年10月11日 2時) (レス) id: 02f4987028 (このIDを非表示/違反報告)
まぐろ - だいにの小説の中で一番面白いです!更新これからもよろしくお願いします (2020年1月26日 23時) (レス) id: 0e8d144820 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:つばめ | 作成日時:2020年1月1日 0時

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