クリエイターシンドローム

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カタカタとキーボードを打ちながら、目の前の西尾と静かにやり取りを進める。
光景は至って「静」だが、内容はものすごい「動」だ。

西尾も飲み会の件が気が気じゃないのか、
俺とLINEのやり取りを始めてから、眉間にしわを寄せる回数が増えていく。

≪俺の予想だと、飲み会の後から変だぞ土井谷≫
≪まじか≫
≪つまるところ、原因はAさんとみている≫
≪まじか≫
≪お礼と感けて、個別でトークしてるぞあいつ≫
≪まじか≫

普段そんなことはないのに、冴えわたる西尾の推理によって
トークの内容はさらにヒートアップしていった。

≪しかし、お礼を送って、返事がきて、それ止まり≫
≪なるほど≫
≪土井谷的には、やり取りを再開させたいが、キッカケがない≫
≪ということは…≫
≪たった1回のやり取りを見てニヤつき、しかし再開できないことにため息≫
≪西尾さん、名推理！≫

そんなやり取りを終えた後、普段かっこつける彼のいじらしさと
相反したその純粋さがあまりにも面白くなりすぎて、
笑いを堪えきれず、俺と西尾は同時にふきだしてしまった。

「やばいですって！やばいです西尾さん！」
「まじやめろって須藤ー！」

「…お前ら」

「「あ」」

LINEのトークに夢中になっていた俺らは、
そばに土井谷が立っていることに気付かず、
作業しないんだったらどこかで夕飯でも食ってこい、
とスタジオを追い出されてしまった。

＊＊＊

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