ドット・バレットのお誕生日【下】 ページ12
いや、そう考えると、今朝のドットくんの様子に合点がいく。
誕生日なら誰しも、祝ってもらいたくてソワソワするものだろう。
エイプリルフールは関係なかったのか･･･、だとしたら余計に、補習の件は嘘だということを伝えにいかねば。
嘘なんてついていないドットくんに、倣った結果だったのだから。
＊＊＊
実験室に行くと、ドットくんが一人ポツンと立っていた。
誕生日なのに、不憫な思いをさせてしまい罪悪感が芽生えるが、彼は、そんな想いとは裏腹に、ボクが来たことに気付くと、嬉しそうな表情を見せた。
「おっす、Aちゃん。どうしたの？補習じゃねぇだろ」
「いや、ごめん。それ嘘」
「先生全然来ねーんだよ･･･ん？今なんて？」
「来なくて当然だよ。補習なんてないんだから」
呆然とするドットくんに、心が痛む。
軽い冗談のつもりだったのに、誕生日というおめでたい日に、無駄な時間を過ごさせてしまった。
こんなの怒られてしかるべきだと、俯きながらドットくんの言葉を待っていると、ため息混じりの声が降ってくる。
「なんだよ、嘘か･･･。そういや今日はエイプリルフールだもんな。なら、仕方ねぇか」
「仕方なくはないけど･･･。あ、それと･･･、ついでみたいで申し訳ないけど、お誕生日おめでとう」
最悪なタイミングでのお祝いだ。
なんなら、不審に思ったときに魔法を使うべきだった。そうすれば、いの一番に祝ってあげられたのに。
「プレゼントもなにも用意してないんだ、ごめんね」
「いや･･･Aちゃんに祝ってもらえただけで十分だ」
嬉しそうに顔を綻ばせるドットくんに釣られ、自然と顔が緩む。
「まあけど･･･いや、なんでもねぇ」
「･･･」
ドットくんの言葉に、ああ、今が使い時だと、こっそり呪文を唱えると、ドットくんの内に秘められた想いが伝わってくる。
「(プレゼントなら、Aちゃんとのデート一択だぜ)」
･･･。
「ドットくん。もし暇なら、今から出掛けない？プレゼント選び手伝ってほしいな」
「え？･･･え、いいの！？(二つの意味で)」
「うん」
「よっしゃー！！じゃあ行こうぜ、今すぐ！」
ウキウキした彼の後ろ姿を追いかけながら、少しでも今日という日が、彼にとって幸福であれば良いなと、そう願った。
「お祝いパーティーどうする？フィンくん」
「二人が帰って来てからか･･･それか、また明日にしよう」
二人を見守る影が二つ･･･。
続く
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さくさん(プロフ) - ひゃあああああこういうの大好きです！！！！更新お待ちしております…♡ (6月13日 8時) (
レス) id: d31a4e6606 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - ドットくん何気に好きなので楽しみにしてます‼️更新頑張ってください^ ^ (6月5日 20時) (レス) id: 390c1a0e26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うぐいす。 | 作成日時：2023年5月21日 16時
