ドット・バレットのお誕生日【上】 ページ11
教室に入ったら、ドットくんがなんだかソワソワしていた。
不審に思い、「トイレに行くなら早く行った方がいいよ」と、HRが始まってしまうことを危惧して伝えると、悲しそうな顔をされた。
なんなの、いったい。
今日なにかあったかな。あ、エイプリルフールか。
ドットくんは一番に嘘をつきそうだなぁと思いつつ、とりあえず席に座る。
「・・・なあ、今日四月一日だよな」
「え?・・・うん、そうだよ」
隣に座るドットくんが、徐ろにそう尋ねてくる。
なに。そこまで話題が尽きていたのか。そういうときって普通、天気の話をするものではないの?
いつもとは明らかに違うドットくんを、不思議に思う。
あ、エイプリルフールだから?
エイプリルフールだから、普段の自分を偽って、いつもよりしおらしくしている、みたいな。
そうだとすれば、なんだか嘘のつき方独特だな。
でも、やっぱりイベント事に積極的に乗る姿勢は、ドットくんらしい。
せっかくだしボクも、ドットくんに倣ってみよう。
「ねぇ、ドットくん」
「なに?」
「この前の魔法植物学のテスト、悪かった人は今日の放課後、実験室で補習だって」
「えっ、マジで・・・?」
「マジ」
テストが全然出来なくて落ち込んでいたドットくんは、憂鬱そうな顔を見せる。
エイプリルフールにつく嘘って、こんなものでいいのだろうか。意識したことがないから勝手が分からない。
「はあ・・・嘘だろ」
嘘だよ。
「クソ・・・今日は・・・」
ポツリと零した彼の言葉に、疑問符を浮かべる。
やはり今日は、彼にとってなにか特別な日らしい。
もしかしたら、放課後なにか用事があったのかもしれない。なら、なるだけ早く告白すべきだろう。
授業が終わってすぐに、嘘であることを伝えようと思いながら、教室に入って来たマッシュくんたちに挨拶をした。
***
しまった。
教科書を片付けている間に、既にドットくんの姿がなくなっている。
なんで。どこに。って、理由も場所もおそらくはボクが予想しているものと合致しているだろうけど。
ごめんよ、今すぐ嘘だって言いにいかなくては。
と、鞄を持ち上げすぐさま教室を出ていこうとすると、フィンくんたちの話が耳に入ってきた。
話の内容は、今日ドットくん変だったね、というもの。
続けざまに、ランスくんの口から衝撃的な言葉が飛び出す。
「今日が誕生日だからだろ」
え、ドットくん誕生日なの?
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さくさん(プロフ) - ひゃあああああこういうの大好きです!!!!更新お待ちしております…♡ (6月13日 8時) (レス) id: d31a4e6606 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - ドットくん何気に好きなので楽しみにしてます‼️更新頑張ってください^ ^ (6月5日 20時) (レス) id: 390c1a0e26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うぐいす。 | 作成日時:2023年5月21日 16時