6.少人数派 ページ6
＊
あれから藤井さんに話しかけられることもなく、もちろん、私から話しかけることも無く全ての授業が終了した。
起立、気をつけ、礼。
日直であろう男の子が言うのに合わせて挨拶をすると、みんな部活やらバイトやらに向かう。
私はみんなから遅れをとり、急いで鞄に教科書を詰めて階段をおりた。
たった、と上履きの音をたてながらいつもの部屋に向かうと、窓の外をぼーっと見ていた藤井さんが、私に気づいたのかニコリと笑う。
『ふふっ、ふじ、藤井さっ、！』
「さっきぶり〜」
通常運転に眠そうな声。でも落ち着いて私の好きな声。
ここが部室なはずなのに、昨日も何ともない顔で気持ちで踏み入れていたはずなのに、藤井さんがいることによって雰囲気から違う。
これがクラスで優しい王様のオーラ……やっぱり、私とは大違い。
身分の違いさを叩きつけられながら、恐る恐る部屋に入った。
「美術部って瀬良さんだけなん？」
ゆっくり鞄を机に置くと、静かになった空気にすぐ会話を持ってくる。
今気づいたけど瀬良さん呼び……というか、私の名前知っててくれたんだ。
じんわりと暖かくなる胸を抑えて、俯きながら"美術部ってたまに褒められるから入るだけ入ってる感じだと思う……"と説明した。
「へぇ……じゃあ瀬良さん、いつもここで1人で絵描いてるんや」
『ま、まぁ、そうなる、かな？』
「ええなあ、1人。ほら、サッカー部って人数多いやん？少ないのに憧れるっていうか、俺、基本的少人数好きやから」
確かに、どこの学校もサッカー部は人気で毎年入る人数は多い。
それに、藤井さんが少人数好きって言う理由もどことなくわかる気がする。
いつ見てもその気怠けさ。
毎日眠そうだし、集団で行動する時は凄く静か。でもそんな多くない人数での行動は、割と動く。
……でも、人数が多いとわかっていてもサッカー部に入る藤井さんは、それだけサッカーが好きなんだろうなと感じられた。
『わかる、よ。私も人数が多いと混乱するっていうか……過ごしにくい、かな。だから、少人数の美術部、すごく、好き』
好きな人を目の前だからか、語彙力がない。
だけど、言いたいことは伝わったのか、藤井さんは"せやんな〜"って共感しながら頷いた。
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News9864915(プロフ) - めちゃめちゃ好きです泣 藤井くんに好きな人がいる ってときや、大好きって書いたシーンで胸が毎回キューーってなります…！！ (2020年3月26日 13時) (
レス) id: 7b9d7e55b8 (このIDを非表示/違反報告)
ぽてとふらい。(プロフ) - しよりんさん» いつでも待ってますよ！！ぜひ都合の良い時に(^ワ^=) (2019年11月20日 23時) (レス) id: 9d94f1b87d (このIDを非表示/違反報告)
ぽてとふらい。(プロフ) - みーぽんさん» 多くの作品から選んで読んでくださり、ありがとうございました…！そう言っていただけると本当に嬉しいです、励みになります！！ (2019年11月20日 23時) (レス) id: 9d94f1b87d (このIDを非表示/違反報告)
しよりん(プロフ) - ぽてとふらい。さん» しかもだいぶ長編なんで、下書き段階で全然終わらへん泣 早く読みたいですー！！ (2019年11月20日 13時) (レス) id: db32c84ab5 (このIDを非表示/違反報告)
みーぽん(プロフ) - はじめまして。一気に読ませていただきました。とても素敵なお話ありがとうございました(*´ω｀*) (2019年11月20日 12時) (レス) id: d6634a8534 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽてとふらい。
| 作成日時：2019年10月22日 10時
