引き立て役の私だって主人公になりたいとか思ったけど夏終わるし諦めよう。

28.告白？ ページ28

＊





『っ、本当に何なんですか！』






半年前と同じ、腕を振りほどく。

けどあの日みたいに離されることはなくて、逆に、更に力を増した。


あの日みたいに、ならないようにと力で表すかのように。






「……まずは、いきなり、ごめん」






ふわりと風が吹く。

1回深呼吸した小瀧さんの口から出たのは、謝りだった。







『小瀧さんのせいで授業1時間サボることになりました』


「……ごめん」


『…………はあ、もう、いいですよ。1時間ぐらいどうってことないんで。それで、用はなんですか？連れ出してまで伝えたいことなんですよね？』






私の腕に、熱が伝わる。

小瀧さんの手から伝わる汗や緊張、その全ては私も感じてくる。


そしてそれを、更に"なんだろう"っとモヤモヤさせる。


私の言葉に続けては言わず、少しの沈黙のあと、小瀧さんはやっと口を開けた。







「多分、俺、瀬良ちゃんのこと好きや」






……予想もしなかった言葉に、思わず、え？って声がもれてしまう。


冗談か、と思いきや、見上げた先に見えた小瀧さんの顔は真剣そのもので。

あの時みたいなヘラヘラとした笑みは浮かべていなかった。


でも、え？


その真剣そのものの眼差しが、もっと私を混乱させる。







『あ、っと……え？もう一度聞きたいんですけど、』


「好きや」


『すき家の牛丼？行きたいんですか？』


「ちゃう、……はぁ、もう、」






呆れたように、ふ、っと笑うと

"こういうの望んで狙ったなら、とんだ確信犯やな"って耳元で囁かれ、そのまま抱きしめられる。






「ラブ、の方やで」







甘い。

聞こえた声は甘くて、自分を保っていないとつい落ちてしまいそうになる。


でも私はこの状況を理解し、小瀧さんの体を押して1歩下がった。






『……今更、何なんですか』


「ごめん、気づくのは確かに遅かった。けど……諦めようとする度に、苦しいねん、どうしても……」


『違います！！！』


「……」


『ハルカと付き合ってるくせに、なんなんですかって意味です……。あの時、なんで突き放したかっ、！！知りも、しないで、っ、』

29.隠してた本音→←27.半年

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す