6.逃げる ページ6
*
『じゃあ、まず会話から……これ、私から行った方がいいの?』
「あかんな、ここはしげから行かせんと」
「りゅ、流星……!」
『じゃあ黒髪くん、いつでもどうぞ!』
お友達くんの後ろに隠れてた黒髪くんは、にょきっと顔を出して、それでも出してるのは目元だけ。
チラチラと合う視線はすぐ逸らされ、沈黙が走る。
いきなり騒がしかったここが静かになると、周りもぱったり話し声が消えた。
それを余計に、黒髪くんを圧迫するらしく。
"無理や……!"っとぽつりと呟いて、教室を出ていってしまった。
『あれ……』
「はあ、またこれやなぁ」
『……また?』
頭を掻きながら立ち上がったお友達くんは、"あいつ、逃げる癖があるんよ"って黒髪くんが逃げた方向を向いた。
「要は気弱いってことやな。こういう時はいつも探しに行くんやけど……あいつ、無我夢中で走るから、毎回違うとこおんねん」
「大変やな、流星も」
「望、代わりに行くか?」
「遠慮しとくわ」
いつの間に2人はこんなに仲良くなったのだろうか。
お互い下の名前で呼びあっちゃって。
……ていうか、黒髪くんの名前知らないなぁ。
「とりあえず、チャイム鳴ると厄介やから探しに行くわ。また今度、一緒に食べようや!」
『うん!私は……私たちは、いつでも1組にいるから、大丈夫な時誘って!』
「ん、おっけ。じゃあ」
かっこよく手を振って走っていってしまったお友達くん。
残された私と小瀧は、顔を見合わせて"時間も時間やし、教室戻るか"っと立ち上がった。
『私、黒髪くんと仲良くなれるかな』
「黒髪くん?あぁ、しげか。なれるんちゃうん。てか、推しって遠くから眺めるものって言うてへんかった?仲良くなってええの?」
『わかんない』
「調べとけよ」
でも違うんだよ小瀧。
なぜか黒髪くんは、推しだから遠くから眺めときたい……だけじゃ、物足りないの。
なんというか、知りたいというか。
言えば私は、推し兼友達になりたい。
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ぽてとふらい。(プロフ) - ちぃのすけさん» コメントありがとうございます!1番…!その言葉だけでもう本当に嬉しいです…!これからも沢山お話を届けられるよう、めっちゃ頑張ります!次回作もよろしくお願いします! (2019年8月26日 22時) (レス) id: 9d94f1b87d (このIDを非表示/違反報告)
ぽてとふらい。(プロフ) - 凜憧さん» ありがとうー!なんかこれ書く前にこんな感じの実際にあって…笑 書きたくなって書いちゃった。凜憧も大変な時期に入るだろうけど、無理しないでね。慌てなくても大丈夫だから。私も二学期から本気出すぞーっ!笑 (2019年8月26日 22時) (レス) id: 9d94f1b87d (このIDを非表示/違反報告)
ちぃのすけ(プロフ) - 完結おめでとうございます!!自分が今まで見たお話の中で一番大好きなお話でした。最後の重岡くんにめちゃめちゃキュンキュンしつつ、にやけを隠すのに必死でした(笑) こんなめちゃめちゃ素敵なお話に出会えて本当に良かったです。次回の新作楽しみにしてます! (2019年8月26日 19時) (レス) id: d270165aa7 (このIDを非表示/違反報告)
凜憧(プロフ) - 完結おめでとう!いつも以上に最後の言葉がグッときて、今、前向きになろうって少しずつ状況を変えてるときだったから余計に響いて、なんかもう泣きそうになった。毎回のようにぽてには元気をもらってるし、勇気をもらってる。すごいなって改めて思った。更新お疲れ様! (2019年8月26日 19時) (レス) id: f3cbf63448 (このIDを非表示/違反報告)
ぽてとふらい。(プロフ) - しげつぐ。さん» そう?なんか、伝えたいことたくさんでごちゃごちゃになってしまったけど…ちゃんと私の言葉、届いてたのならよかった。うん!新作もまた頑張るね! (2019年8月26日 1時) (レス) id: 9d94f1b87d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽてとふらい。 | 作成日時:2019年8月7日 10時