ストロベリーの香りが重岡くんだと知ったら、推しになった。

24.なんかあったかも ページ24

＊





「瀬良」






後ろから小瀧の声がして、慌てて立ち上がり、振り向く。

"どうしたの？"なんて聞けば、忘れ物したって小瀧らしい言葉が返ってくる。







『なに忘れたの？』


「バスケのユニフォーム。邪魔やからって学校に置く用のかばんに入れたままにしててん」


『バカだなぁ、小瀧』


「うるせ。お前には言われたないな」






ぽんって頭に手を置いて、身長を活かした見下す目。


うざくて舌を出して、べーってすると、生意気やなって頬を摘まれる。

痛い、なんて言葉は小瀧に通用しなくて、うりゃうりゃって両頬を摘まれてしまった。






「……なあ、瀬良」






きゃっきゃと遊んだ後、小瀧は私を真っ直ぐ見て、私の名前を呼んだ。

なに？って返事をすれば、


"俺たちって幼なじみよな？"っと当たり前のことを聞いてきた。







『今更なに？』






私が笑えば、ごめんごめんって摘んだ手を離し、もう一度私の頭に手を置いた。


今度は優しく、すりすりっと頭を撫でる。







『……小瀧？なんかあった、』


「時間も時間やから、早く戻らな。瀬良も早く帰れよ？じゃ」






私の言葉を遮るように、小瀧は素早く教室に入り、ユニフォームを手に取ると、走って教室を出ていった。


私の方は一切振り向かず、履き替えるのがめんどくさかったのか、体育履きをきゅっきゅっと音を鳴らして。





夏と言ってももうすぐ秋。

秋が近づいてる知らせなのか、最近は日が短くなってる気がする。


今も、

少し話してたぐらいで夕日が綺麗。








『帰ろうかな』






今日は沢山あった。

黒髪くんがあそこまで積極的……とはまた違うけれど、話してくれるとは思ってなくて。


それに、最後の"また明日"は衝撃的だった。


……小瀧は、どこか変だった。




何かあったのかな。

帰ってからでもメールして聞こう、……って、メールして返ってきた覚えないや。


最近は部活忙しいのかな、帰ったら寝てるってよく聞くし。

まぁ、その時寝て深夜ゲームやってるっぽいけど。






『ふぁあ』






私も帰ったら寝ようかな。

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