3.ストロベリー! ページ3
*
あの匂いを求め、学校に着く。
でも当然の如く、簡単に見つかるはずもなくて。
移動教室で小瀧の隣に並びながら、ため息をつくと、"うわ幸せ逃げた"なんて子供みたいなこと言う小瀧に、うるさいなあっと呟いた。
『幸せ逃がしてんの』
「なんだそれ」
『私が持ち余してる幸せのおすそ分け』
「いらねぇわ」
相変わらず冷たい。
2人でダラダラっと歩いていた本鈴鳴る5分前。
すれ違った時に香る、あのストロベリーの香水。
時間差で来たからなのか、振り向くのが遅くて。
小瀧と話してたことも忘れて振り向くと、朝も見た黒髪が揺れる後ろ姿。
この廊下にいる……ってことは、同い年?
そう確信したら行動は早い。
黒髪が揺れてるその人の腕を掴み、"あのっ!"っと声を上げた。
わかりやすく驚き、誰?って顔をする。
『あのっ、黒髪くん!!』
「ん、俺?」
『推しになってもいいですか!』
「……推し?」
自分でも何を言ってるのかさっぱり。
だけど、私の本能は"黒髪くんの近くにいたい"と叫んでる。
なら、これしかない。
小瀧が、友達として隣にいて匂いを嗅ぐのは……と引いていたから、推しとして隣にいるのはありでしょ?
もしくは、遠くから見守る!推しだもん!
人並みにヲタク事情はわかってる。
推し……うん、心配だから後で調べよう。
「は?瀬良?何言うて、」
『推しになりたいんです!貴方の!』
「……ええっと、まず、誰?」
「しげー!……って、誰?その子。めっちゃ地味……っぐぇ、」
「おいそこのクソイケメン、今瀬良に何言おうとしたん?」
私は黒髪くんの腕を掴み、推しになる許可を得ようとしてる。
隣では黒髪くんの友達、割と高身長で顔が整ってる男の子を小瀧が思いっきり睨んでる。
ああ、言えばカオス?
廊下にいる人の視線が痛い。
けど、
今ここで許可を得ないといい匂いの人が……私の本能が死ぬと言ってる。
「……まず、話し合う、か?」
苦笑いしながら私と合わせてた目を逸らす黒髪くんは、1歩、2歩、と離れて、友達の後ろに隠れた。
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ぽてとふらい。(プロフ) - ちぃのすけさん» コメントありがとうございます!1番…!その言葉だけでもう本当に嬉しいです…!これからも沢山お話を届けられるよう、めっちゃ頑張ります!次回作もよろしくお願いします! (2019年8月26日 22時) (レス) id: 9d94f1b87d (このIDを非表示/違反報告)
ぽてとふらい。(プロフ) - 凜憧さん» ありがとうー!なんかこれ書く前にこんな感じの実際にあって…笑 書きたくなって書いちゃった。凜憧も大変な時期に入るだろうけど、無理しないでね。慌てなくても大丈夫だから。私も二学期から本気出すぞーっ!笑 (2019年8月26日 22時) (レス) id: 9d94f1b87d (このIDを非表示/違反報告)
ちぃのすけ(プロフ) - 完結おめでとうございます!!自分が今まで見たお話の中で一番大好きなお話でした。最後の重岡くんにめちゃめちゃキュンキュンしつつ、にやけを隠すのに必死でした(笑) こんなめちゃめちゃ素敵なお話に出会えて本当に良かったです。次回の新作楽しみにしてます! (2019年8月26日 19時) (レス) id: d270165aa7 (このIDを非表示/違反報告)
凜憧(プロフ) - 完結おめでとう!いつも以上に最後の言葉がグッときて、今、前向きになろうって少しずつ状況を変えてるときだったから余計に響いて、なんかもう泣きそうになった。毎回のようにぽてには元気をもらってるし、勇気をもらってる。すごいなって改めて思った。更新お疲れ様! (2019年8月26日 19時) (レス) id: f3cbf63448 (このIDを非表示/違反報告)
ぽてとふらい。(プロフ) - しげつぐ。さん» そう?なんか、伝えたいことたくさんでごちゃごちゃになってしまったけど…ちゃんと私の言葉、届いてたのならよかった。うん!新作もまた頑張るね! (2019年8月26日 1時) (レス) id: 9d94f1b87d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽてとふらい。 | 作成日時:2019年8月7日 10時