ストロベリーの香りが重岡くんだと知ったら、推しになった。

15.進展ってなに ページ15

＊





『はっ……黒髪くん！』






私は、バーッと黒髪くんの所へ駆け寄ると、私に気づいた黒髪くんは、片耳につけてたイヤホンを外して……速攻逃げた。


それを追いかけるも、男子と女子の差なんて歴然で、朝イチのせいか疲れもあって、捕まえられずダウン。

黒髪くんは、私の後ろにいた流星くんの元へ遠回りしながら駆け寄り、後ろに隠れた。




……昨日の進展って、なに。







「瀬良ちゃん、しげが女の子苦手って忘れた？」


「んなわけあるか。あいつはクソほど真面目に追いかけてたと思うで」


「……怖い」







その場にしゃがんで落ち込む私に、徐々に近づいてきた3人の声。

最後に聞こえた黒髪くんの"怖い"は、私を突き放すかのようで。



……進展って、なんなの。







「まぁ瀬良ちゃん、そう落ち込まんでや？ストロベリーの香りがあるやろ？」


『無理……生きていけない……』


「絶望しきったな」


『推し様に嫌われたらわたし、っ、生きてる意味ないって……！』


「ほらしげ、こんなに泣いてるから一言言うてやったら？」


「近寄んといて」


「近寄んといて、だって」


『聞こえてるよ！！！』







最後に刺さった黒髪くんの言葉……

ああ、本気で嫌われちゃったかな。



元々、急な進展に慌てすぎた？

流星くんの言ってたとおり、黒髪くんは私の期待を裏切ってくる人なの……？






『小瀧……おぶってって……』


「は、無理無理。重いもん」


『乙女に重いとかいうな！永遠の1キロだぞ！！』


「嘘つくなお前！！」






"微笑ましいなぁ"って言い合いになる私と小瀧を見て微笑む流星くんと、

その後ろで明らかに私を睨みつける黒髪くん。



怒ってますオーラ全開だ。

相当地雷踏んだらしい。




謝った方がいい？

いや、でも、謝ったところでまた逃げられる？




やだ……、推し様には嫌われたくない。

推し様だけは！







「うるさいから行こ、流星」


「せやなあ」


『あっ、ちょ、っ！』







私の声や手は虚しく、黒髪くんに届かない。

……進展ってなんなの。

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