9.パピコで半分こ ページ9
＊
お会計を済ませた先輩は、ウキウキしながら外へ出てきた。
そのアイスはパピコで、袋から取り出すと、半分にちぎって渡される。
『してみたかったのって、これですか？』
「ん、そやで？」
ちゅうっとアイスを吸い込みながら返事する。
なぜこれがしたかったのかは謎だけど、わざわざ私とやる理由……無さすぎでしょ。
『……先輩って、』
「ん？」
『……いや、何でもないです』
「なんやねん。気になるやん」
『忘れてください。早く帰りますよ』
"先輩って、好きな人とかいないんですか"
心の声が漏れそうになるのを、パピコを突っ込んで抑える。
なんでこの質問したくなったのかなんて、わかんない。
ただ、自然と。
……ただ、気になっただけ。
『先輩って受験生ですよね？勉強しなくていいんですか？』
「ん〜、せやねんなぁ。勉強せなあかんなぁ」
『ゆるゆるですね。羨ましいです』
「ふふ、せやろ？」
『褒めてはないです』
＿＿
「無事到着」
『ありがとうございました』
「ん、じゃ、また明日の朝な」
『来なくていいです』
本当に私の家の前まで送ってくれた藤井先輩。
ふわりと笑うと、さっき来た道を戻っていく。
……やっぱり。
藤井先輩の家は、多分、私の家と逆方向。
それなのに、送ってくなんておかしいでしょ。こんな暗いのに。
まだ見える藤井先輩の背中を見て、"意味わかんない"っと呟いた。
『藤井先輩の噂、知らないとでも？』
"女遊び常習犯"
誘われれば誰とでも寝るし、でも誘われるまで自分からは動かないマイペースさ。
でも顔立ちがいい、ルックス最強の藤井先輩を放っておく女なんていないから、毎日のように誰かを抱くとか。
噂に過ぎない？
違う、私はこの目で見たことがある。
藤井先輩が、女の子を抱く姿を。
たまたまだ。
たまたま、理科室……実験室に行った時。
なにか声がするな、って思って覗いてみれば、それだった。
その頃から藤井先輩は私に懐いていたから知ってたし、噂も何となく耳には入っていた。
『……はぁあ』
そんな人が、私の隣を歩くなんて信じられる？
可愛くもないし、植物さん大好きなこの変人女子の隣を歩くなんて。
それに、藤井先輩の行為はあの時の1回ではなく、何回か見た事あるし。
"「またアイス食べようなぁ」"
藤井先輩から来る通知を確認して、そっと電源を落とした。
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さそり(プロフ) - ぽてとふらい。さん» 返信ありがとうございます！ご無理だけはなさらないでくださいね！ (2019年8月7日 0時) (
レス) id: 4ec832239f (このIDを非表示/違反報告)
ぽてとふらい。(プロフ) - さそりさん» はじめまして！コメントありがとうございます…！そう言って貰えて私も嬉しいです！番外編はまだ考えていませんが、希望があるのなら少しずつ考えていきます！そのため更新停止にしておきますね。閲覧、本当にありがとうございました！ (2019年8月6日 23時) (レス) id: 9d94f1b87d (このIDを非表示/違反報告)
さそり(プロフ) - はじめまして。完結おめでとうございます！このお話大好きです！もし負担にならなければ、ふたりの番外編も読んでみたいです。負担でなければ、ですが…。執筆お疲れ様でした！ (2019年8月6日 23時) (レス) id: 4ec832239f (このIDを非表示/違反報告)
ぽてとふらい。(プロフ) - しげつぐ。さん» ありがとうー！今回も終わりが満足できる書き方できたからよかった 笑 うん！頑張るね！ (2019年8月6日 16時) (レス) id: 9d94f1b87d (このIDを非表示/違反報告)
ぽてとふらい。(プロフ) - 凜憧さん» うおっ、照れる…！笑 でも、そう思ってくれたのなら嬉しい。きっとその野花も喜んでるね、私も書いていて考えさせられるところもあったから、近くのお花に水あげようかな。笑 うん！また凜憧の作品にもお邪魔するね！ (2019年8月6日 16時) (レス) id: 9d94f1b87d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽてとふらい。
| 作成日時：2019年7月27日 1時
