8.diary ページ8
＊
たった、っと教室を駆け出して下駄箱に向かう。
鞄をきゅっと握って、急いで、急いで、息が苦しいことなんて忘れるぐらい急いで。
『はぁ、っ………大毅！！』
見覚えがあるその丸まった後ろ姿に、ぎゅっと飛びついた。
一瞬前によろけながらも受け止め、"A？"っといつもの優しい声とは違う、掠れた声。
どきっと胸が高鳴り、好きと実感する。
背中に顔を埋めれば、そこから匂った柔軟剤の匂い。
「何で、」
『大毅こそ………何で、いるの』
「何でって、……待ってた、」
久々かもしれない。
弱々しい、大毅の声は。
聞いたのは……いつだっけ、確か、付き合ったあとぐらいだろうか。
好き、と言うのもお互い照れて
キスするなんて、もってのほか。
1回だけ、気持ちがすれ違った日があって。
その時に聞いた、"俺のこと好き？"って質問。
それはあまりにも弱々しく、大毅らしくないと思っていた。
あの時以来、だろうか。
「駄々こねた俺が悪いし、しゃーないというか…謝りたいのと、やっぱ、キスした…」
だめか。
言いかけた言葉を区切って、にひひ、っと笑いなから否定する大毅。
そんなこと、言わないで。
言葉には出来ない代わりの、仕草、行動。
ぎゅっと抱きしめる力を強めて、"していいよ"って顔が熱くなるのを隠した。
「え……？」
『キス、したかったんでしょ……いいよ、って……何回も言わせないで』
恥ずかしいから。
そう言い終わる前に、大毅は私の方をくるりと向いて、私の顔を手で挟んだ。
「可愛すぎやろ、」
真っ赤に染まった大毅の顔がだんだんと近づいて、目を瞑る。
どきどき、そう高鳴るのはいつも以上で、少し戸惑う。
聞こえてる、かな。
聞こえてるか。
恥ずかしいな、なんて。
そんなこと思ってると、ちゅっと触れた大毅の唇。
でもその部分は、唇ではなく、おでこ。
私の前髪を上げて、軽くキスをしただけ。
『……それ、だけ？』
「なんか、ご不満？」
ご不満、というか。
この流れ的に、口にするのとばっかり思ってたから、何というか、なんだろう。
『複雑……』
「複雑？なにが？」
『っ、何で、もう、言わない！』
大毅から顔を思いっきり逸らすと、"言わなわからん"って意地悪く聞いてくる。どこでそんなの覚えたの！シャイなくせに！！
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ぽてとふらい。(プロフ) - 凜憧さん» ありがとう…！嬉しい！なかなかそっち更新できなくてごめんよ…ちょっとずつ頑張るからね！本当にありがと！ (2019年5月27日 17時) (
レス) id: 9d94f1b87d (このIDを非表示/違反報告)
凜憧(プロフ) - 新作おめでとう！神ちゃんの方コメントできなくてごめんね、でも見てるよ！「キスの日」も「条件付き結婚しませんか？」も面白かった！条件付き結婚の方の更新楽しみにしてるね。完結お疲れ様！！ (2019年5月25日 17時) (レス) id: f3cbf63448 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽてとふらい。
| 作成日時：2019年5月24日 23時
