6.diary ページ6
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「なあ!!Aってばああ…!」
『嫌だって、何度言えばわかるの?授業中もうるさいよ、おかげで怒られたじゃん』
「キスさせてくれへんAが悪い!」
『私のせいなの?』
ここまでキスを強請ったのは初めてかもしれない。
教科書やらを鞄に詰める最中も、隣からガンガン聞こえる"キスしたい"。
さすがにみんなも引くレベルで、あのゆるゆるでダルダルな流星までも止めに来る程だった。
神山くんは相変わらず大毅に説教するけど、効果はなし。なんなら右から左に流してると思う。
「何でキスしてくれへんの……」
本鈴が鳴る数秒前。
ふと隣から聞こえた小言は、私の耳にちゃんと入って、聞こえて、頭で理解して。
流星が言っていた、"しげだって寂しいんやろ?"。
あながちそれは、間違ってないのかもしれない。
「好きやのに、」
『え、…?』
大毅が口を開けて、私の目を見て、何が言った。
けどあまりにも小さすぎて、しかもそれが本鈴も被ってさらに聞こえなくて。
聞き返そうとしても大毅は、顔を伏せてしまった。
『……』
それから私の名前を呼ぶ声は無くなる。
キスしようと強請った可愛い声が無くなる。
いきなり、突然に流れた沈黙は、私の胸を突き刺さり痛くなる。
……なにこれ、意味わかんない。
初めて経験したかもしれない、これは。
気持ち悪い、のかな。よくわかんない。痛いし、怖い。
『大毅、』
「……」
振り絞った彼の名前も、消えていく。
流星がいつしか言っていた。
"Aのその素直やないところも、遠慮したところも、しげにとっては不安の材料やで"
『……』
こうなること、どこか予想していたのかもしれない。
いつか素直じゃなさすぎる私に愛想尽かし、離れていく。
離れていかなくても、冷めていく?
元々、モテる大毅が私を選んだこと自体奇跡なのに。
『……ごめん』
そう呟いた声は、大毅に聞こえてたのだろうか。
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ぽてとふらい。(プロフ) - 凜憧さん» ありがとう…!嬉しい!なかなかそっち更新できなくてごめんよ…ちょっとずつ頑張るからね!本当にありがと! (2019年5月27日 17時) (レス) id: 9d94f1b87d (このIDを非表示/違反報告)
凜憧(プロフ) - 新作おめでとう!神ちゃんの方コメントできなくてごめんね、でも見てるよ!「キスの日」も「条件付き結婚しませんか?」も面白かった!条件付き結婚の方の更新楽しみにしてるね。完結お疲れ様!! (2019年5月25日 17時) (レス) id: f3cbf63448 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽてとふらい。 | 作成日時:2019年5月24日 23時