条件付き結婚しませんか？

32.恋愛話？ ページ32

＊




『そっ、そうだぁ！！藤井さんは最近の恋愛話とかないんですか！！』





神山さんがいろいろ隠してるあいだになんとかこの場を繋げなければいけない。


……こういう時に桐山さんのコミュ力が欲しい、羨ましい、なんであんなにコミュ力高いの！！





「恋愛……か」


『そうです恋愛！こういう立ち話で盛り上がるのは恋愛ですよ！私は藤井さんのマネージャーになったんです！それぐらい話しても……』


「瀬良さん」


『……はい？』






いや、でもさすがにジャニーズに恋愛事情聞くのはまずかった？

でもこれしかネタないし、他に話したとしても絶対に途切れて終わり。


藤井さんもそんなにコミュ力持ってないんだから仕方ない……！




そんな混乱の頭の中、藤井さんの方をちらりと見ると、"それ以上は、ないん？"って私の頬に手を伸ばした。






『そ、れ、以上とは……』


「マネージャー以上の関係」


『それは……お友達という事ですか？』


「……鈍感」


『え？！』






頬を触っていた手は、するりと落ちて私の腕を掴む。

そのまま藤井さんの方へ引き寄せ、私は、藤井さんの体にすっぽり埋まった。






「恋人、ってことやねんけど」


『……は？』






状況が理解できない。なにこれ、どうしたの。


さっき私はこの場を繋げるために恋愛話を持ち出したのに……この展開は何？わかんない、なにこれなにこれ。

少女漫画でも見た事ないぐらいムードもくそもない。






「マネージャーになってっていうのは建前。ほんまは……」






"なぁ瀬良さん"





『……っ、はい？』


「神ちゃんのこと、タレントとマネージャーの関係以上も以下もないって言うたよな？」


『言いました、けど』


「なら、ほんまに、神ちゃんのことは好きやないんよな？」


『好きじゃないですよ？でも、いきなりなんで、』


「いや、ええんよ、……じゃあ、遠慮なく言うわ」






"会った時から好きです"


耳元で囁いたその声は、ジャニーズWEST唯一の低音ボイスと呼ばれるだけあって、無意識にも胸がドキッと跳ねた。

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