条件付き結婚しませんか？

4.新婚ホヤホヤ ページ4

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雑誌撮影も1時間ちょっとで終わり、神山さんは明らかに疲れた顔で楽屋に戻ってきた。

それをすかさずカバー。お疲れ様です、と言いながら水を渡し、ほんの癒しでお菓子もあげる。



だいたい神山さんにはお菓子をあげとけば喜ぶから、単純で楽。

めんどくさい人はその時その人のお気に入りのお菓子とか買わなくちゃいけなかったりするから、超絶だるかった。






「おおきに」


『これもマネージャーの仕事なんで』


「……ふーん」






ドヤ顔でマネージャーを自慢すれば、興味無さそうな声が返ってくる。少しは褒めてよ。



撮影前と別のソファに体を沈めると、"なぁ、A"と、また、ぎこちない名前が聞こえた。






『あの、呼び慣れてないなら無理して呼ばなくていいんですけど。なんか恥ずかしいですそれ』


「ええやろ、結婚したんやし。お互い名前で呼ばないと変やろ？」


『いや、仮にもマネージャーとタレントなんで。無理です』


「今は、やろ？完全仕事が終わればええの？」


『………自己判断でお願いします』






はあああなんだこいつ。無理して名前呼ばなくていいわ！！てか聞いてるこっちが気持ち悪いからやめて！！

……なんて本音は言えるはずもなく、自己判断でお願いします、とは言ったけど……



まぁ、なんか神山さんが嬉しそうに頷くからいっか。これ以上なにかいえばこの顔が曇りそう。めんどくさい。






『……あ、で、言いかけてましたよね、神山さん。何ですか？』


「あ？……ああ、とくに大したことやないけどさ、婚姻届ってどうすんのかなって」


『ちょ、はあ？馬鹿ですか？まさか書いて出そうとしてますか？そしたら大問題ですよわかってます？すぐマスコミ行きです、誰にもバレたくないなら婚姻届は持ってるだけで絶対に出しません！！いいですか！？』


「……お、おう、そんな熱心に言わんでも……」


『貴方はアイドルなんです！！ステージでキラキラ輝くアイドルなんですよ！！自覚持てチビ！！』


「お前より背はでかいし！！」






ああ、傍から見てこれは、新婚ホヤホヤと言えるのでしょうか。

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