条件付き結婚しませんか？

23.掛け持ちお願いします ページ23

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神山さんと重岡さんの撮影が始まった矢先、藤井さんが"ちょっと、ええ？"と、のそのそと来ては私の隣に並んだ。






『はい？何でしょうか……』


「マネージャーってさ、掛け持ち大丈夫なんやっけ？」





何を聞くかと思えばそんなこと。

でも不安そうに藤井さんが私に聞くもんだから、なんだか面白くって。


"眉が下がってますよ〜"なんてからかってやれば、"真剣に聞いとるのに"と今度は拗ねてしまった。


……なんか、可愛い。






『基本、マネージャーは掛け持ちするもんなんです。私はまだ新人なので、任されないというか……まぁ、やってください、と言ってくれる人がいれば即おっけーになりますけど』






"生憎、いないんですよ"


悲しいでしょ、とクスクス笑いながら言う。

でも藤井さんは一切笑わず、真剣そのもので私を見た。






『え……ここは笑うところですよ？』


「瀬良さん」


『……はい？』





ぎゅ。

宙ぶらりんにされてた私の手を握りしめ、藤井さんの体が私の方に向く。


突然の事で心臓が1回飛び跳ねる。

でもそんなの気にしてる暇もなく、藤井さんは、"お願いがあります"と低音ボイスで伝える。





「俺の、マネージャーになってください」






……は？


間抜けな声が少しざわついた撮影室に響く。






『ちょっ……と、待ってください？今、なんて、』


「俺の、マネージャーになってください」


『いや……え？でも藤井さん、マネージャーいたんじゃ……』


「つい最近辞めたんよ」


『は？』






いや待って、それも聞き捨てならないけど。

なんでマネージャー辞めたのにそんなに清々しいの？


マネージャー辞めるとか、一大事よ？

藤井さん、なにかしたの？



……てか、何で






『なんで私なの……？』






心の中で言ったつもりの声が、思わず口から出てしまう。

藤井さんは頭を傾げて、"なんでって……"と少し悩み出した。






「瀬良さんが、ええから？」


『なんだそれ』


「とりあえず、瀬良さんに俺のマネージャーしてほしいねん」


『いや、お互いジャニーズ……しかも同じグループ……その中で2人同時のマネージャーは苦しいと言いますか……』


「なら俺と神ちゃん、仕事一緒の時とかは一緒に行動したらええんちゃう？」


『……は？』

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