異性として見れないと、よく言われます。

15.勘強い藤井くん ページ15

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両目をゴシゴシ、っと擦って、もう1度私を見る藤井くん。

"何話そっか？"っと首を傾げて聞いてくるあたり、流石の藤井くんも無言の空気はキツイんだろうなって感じた。







『んー…ここはよくある、恋愛話？』






高校生にもなれば、しかも3年生となれば、彼女の1人や2人、好きな人の1人や2人いてもおかしくない歳。

藤井くんは……まぁ見ての通りイケメンであり、ほかの女子なんかは黙ってないぐらいだから、さぞかし素敵な彼女やら気になってる子やらいるんだろうなって。



ちょっぴり期待しながら、じーっと見つめてると

"ん？俺？"と自分を指さした。






『藤井くん、彼女いる？』


「おらん」


『え！……好きな人は？』


「それもおらん」


『……まじ？気になってるひとは？』


「おらん、かなぁ」






質問すれば、リズムよく返ってくる回答。

私の期待は大きく外れ、彼女も好きな人も気になってる人もいないらしい。


……意外すぎる。







『絶対モテるのに。てかモテてるのに。勿体ないよ、藤井くん』


「だって……あんま告白されへんよ？俺」


『嘘つけ！絶対年に100回はされてる顔してる』


「見た目判断？」






"そんな顔してる？"とペタペタ自分の顔を触りながら確かめる。

んー、なんか、顔全体が告白されてる顔してるのに。


藤井くんって、自分がモテてることもあんまり気づいてない？

告白も、告白と捉えてなかったり……？







『人生に告白って何回された？』


「数えたことない」






………あ、ちゃんと捉えてたわ。



まぁそりゃそうか、そこまで天然じゃないよね、と自分の心の中で納得すれば

"逆に、瀬良さんの恋バナ聞きたいんやけど"と肘ついてニヤニヤする男1名。



私の恋バナ、ねぇ。

思い出せばろくなことがない……気がする。

てか、告白されたことないし、なんなら告白しても全部振られてるし。







『残念、私には自慢出来る恋バナがないんです〜』


「へー、残念やな」


『おお…なんかあっさり、傷つくんだけど』


「それより」


『……？』


「瀬良さん、絶賛恋してるやろ？」






唐突の質問に、ドキッと心臓が大きく跳ねる。

息詰まって"へ？"と変な声が出れば、"当たり？"と笑う藤井くんがいた。






『いや…っ、いやいやいや、んなわけ…』


「その相手は…望、だったりして」






これまたビンゴに心臓が跳ねた。

"わかりやすすぎ"、とクスクス笑うけど、本気で心読める人なんじゃないかとやや疑ってしまった。

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