好き、好き、大好き２【伊黒小芭内】 (ページ7)

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. Anotherside ページ7

主役を演じた少女は、戸惑っていた。前日の練習と、Aの演技は全然違っていた。
いや、内容は変わっていない。それこそ、1字1句。ただ、その表現力や演技力、観客を引きつける魅力が、比べ物にならないほど上がっていた。

『＿＿＿そうでしょう、お姉様？』

自分へと向けられた台詞。振り向いたAの表情は、まさに演じている妹そのもののよう。

言うべき言葉は分かるのに、声にならない。
ざわめく観客(生徒)が視界に入る。

彼女の………初恋Aの演技に呑まれてしまった少女は、最早どうすることも出来なかった。

他の追随を許さない、圧倒的な演技力、表現力。他人に見られることでより輝きを放つ、演技の天才的なセンス。

誇られるべきその力は、この小さな世界では異質だった。

「あんたには、演劇は向いてないのよ!」

少女は、劇も忘れて叫んだ。

☆ ☆ ☆

小さな世界の大きな才能

異質な天才役者は

劣等生の烙印と共に……