殴ったら惚れられた 2nd【宮侑】【角名倫太郎】

05 忠告 ページ7

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みんなからの視線と、微かに聞こえてくる話し声に、耐えられなくなって教室から逃げ出してしまった




｢おい！｣





後ろから誰かに追いかけられて、必死に逃げたけど足が遅すぎて捕まってしまう

こんな時に自分の身体能力が嫌になる





｢なんやねん、あれ｣

｢.....私が悪いの。手、離しちゃったから｣





嘘に嘘を重ねて、自分がどんどん消えていく






｢ほんまか？｣






どうして、どうしてこういう時だけこの人は鋭いんだろう

普段はポケ〜っとしていて、食べ物のことしか考えてないのに






｢うん、ごめんね。心配かけて｣


｢なんかあったら、すぐ言え｣







どうして、こんな時だけ.....優しいの






｢俺がおるうちは、安全地帯やで｣






いや違う、いつも優しい







優しいから、








｢うわっ、なんやこれ｣

｢どしたの？｣

｢俺の椅子の上に、画鋲が落ちとってん｣







狙われる。



その画鋲の意味はすぐに分かった

ただ偶然で椅子の上に、しかも針が上を向いて画鋲が立っているなんて、まずそうそうない



となればひとつ。

これは忠告だ







｢あっぶなー、先生どないしてくれるん
他にも落ちとるかも。Aちゃんも気を付けてな｣







これ以上宮治と仲良くしたら、彼にまで被害が.......








気をつけなくちゃ。






そう、誓って約１ヶ月後

気をつけていたおかげか、危害はない




体育の時間、もうすぐ控えている体育祭に向け、校庭で2クラス合同で練習していたら





ドンッ、と誰かに身体を押された


結構強い力で、しかも急に押されたので、上手く受身を取る事が出来ず、膝からついてしまった




｢あ、ごめーん。どんくさくて見えへんかったわ｣





私を押したのは、宮侑の彼女のさくらちゃんだった

そういえば、最近上手くいっていないという噂を聞く。
というのも、宮侑が完全に上の空らしい





｢すみれちゃんの足怪我させといて、よく普通に居られんなぁ｣
｢そやわ。神経図太すぎやろ｣






さくらちゃんとその友人の罵声を受けていると、膝からたらりと血が流れだす


この場から立ち去るのにいい口実が出来た







私は怪我を理由に保健室へ向かう

一刻でもあの場から離れたくて、痛みを忘れて走っていた

どれだけ嫌なんだ、と自分でも笑ってしまう








一人は楽だ



誰にも迷惑かけないし、何も気にしなくていい

嫌がらせを受けることもないし、そもそも関わられることもない

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