殴ったら惚れられた 2nd【宮侑】【角名倫太郎】

04 実験での事件 ページ6

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｢加熱した鍋には十分気をつけて下さいね。大怪我した生徒もいますから。それと火傷も。持つ時は持ち手を。あと、刃物を使う時は.......｣






なるほど火傷ね。火傷に注意っと

あ、早く温度を計らないと....






｢あづ！｣






意識したそばから熱した鍋を直に触ってしまった

結構大きく叫んでしまい、

後ろの班から誰かの笑い声が聞こえてくる






｢はは、注意されたばっかじゃん｣

｢ちょっと、触ちゃっただけだし｣

｢どれ、見せて｣






角名君に、鍋に触れた所をじっと見つめられる

火傷はそんな酷くないらしく、冷やしたら痛みも治まった





｢Aちゃん目立ちたがり屋さんなんだから〜
女の子は傷一つ作っちゃだめだよ？｣


｢うん、気をつける｣






流石すみれちゃん。美意識が高い

それに比べて私は火傷なんかして.....






落ち込みながらも目の前の実習に励んだ


男の子は材料を取りに行ってくれていて、女の子は.......友達の所へ行っている





｢Aちゃん、そのお鍋取ってくれる？洗っちゃうよ｣


｢でもまだ熱いから危ないよ？｣


｢持ち手持てば平気だから！｣


｢うーん、...｣







心配しつつも、鍋の取っ手を持ち、すみれちゃんに受け渡す





｢離すね｣






彼女が持ったのをしっかりと確認したところで、







｢きゃっ！！｣







手を離したら





｢すみれちゃん！？｣






何故か鍋は床に転がっていて







足首にお湯を被ったすみれちゃんが、地面に座り込んでいる

ちょっと膝がジンジンしてきた

私にもお湯が少しかかっていたみたい






｢.......え？｢すみれ！｣







状況を理解する前に、後ろの班の角名君が飛んできて、






｢火傷はっ？｣

｢痛いっ、けど、平気｣

｢歩ける？｣

｢わかん、ない｣







角名君は、分かったと言って、すみれちゃんの膝の下に腕を入れて、そのまま軽々と持ち上げる





すみれちゃんと角名君がいなくなった所で、初めて気がついた






｢さいてー｣







さっきの女の子が、誰かに向かって囁く






それははっきりと響いた






そう、







｢すみれちゃんが侑君達と仲良いからって、酷い｣
｢火傷させるなんて.....信じられない｣
｢いつかやると思った｣
｢うわー、噂通りだね｣









言葉の刃先は、全て私に向けられていたのだ

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