42 episode of Akira(加筆あり!) ページ44
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(このお話は、41話より少し前のお話となります)
ある日、駅から歩いて帰っていたら、どうも前の重そうな買い物袋を両手にぶら下げて、フラフラと歩く女から目が離せなかった
小さい体で重そうなものを持ってるから辛そうとか、手伝ってあげようとかそういうんじゃなくて
「っはぁ、.....買いすぎた」
もっと別の何かが、俺と彼女をつなぎ止めている気がしてならなかった
「.......先輩?」
この女が彼女である根拠は何もないのに、気づけばその細腕を掴んで、かつて好きでたまらなかった人の呼び名を言っていた
「へ?」
ビクッと肩を揺らし、買い物袋を地面に置いてこちらを振り向いた彼女は
「あ、きら?」
「先輩.......!」
正しく彼女だった。
俺は潰れるんじゃないかってくらい力強く彼女の体を抱きしめて、何度も名前を呼んでいた
突然連絡のつかなくなった先輩
会いたくて会いたくて堪らなかった先輩
「先輩!なんで電話出ないの!?てかいつからこっちに!?」
苦しいよ、と俺の腕の中でもがく先輩を解放し、俺は袋を両手に持ち彼女の一方後ろを歩く
「ごめんね、携帯壊しちゃって.......こっちに来たのは、高二の時だよ」
「なんで言ってくれなかったんだよ!そんなに昔からいたなんて.......」
全然気づかなかった.....
気づいてたらもっと、もっと昔から会えたのに.....!
こんなに重い袋、一人で持たせることなんて無かった
「ごめん.......でもこっちにいた時はずっと勉強に追われてたし.....それに、その後は東京の専門に通ってたんだ。だから実質宮城にいたのは1年半も無かったの」
先輩は荷物を運んでくれたからお礼にと、不貞腐れる俺を家にあげて手料理をご馳走してくれた
作ってくれたパスタはめちゃくちゃ美味しくて、フライパンにあるだけ全部食べると、先輩は驚きながらも嬉しそうに笑う
.......好きな人の手料理が上手くない筈がないじゃん
「一人暮らしなの?彼氏は?」
「いないよ。
男の人苦手で.......でも英は怖くないや」
よっしゃ!と思ったのと同時に、先輩の危機感の無さに心配したのと腹が立ってきた
「先輩、いつもこうやって男あげて料理食べさせてんの」
「え?なに?」
カチャカチャと食器を洗う先輩の後ろに立ち、大好きな香りのするその首元に顔を埋めた
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陽愛 - 国見ちゃんサイドですね!嬉しいです(*^^*)あんなことってなんだろう?笑笑どうなるのか楽しみにしていますね( ^ω^ ) (2021年2月5日 13時) (レス) id: e876194da9 (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - ピさん» ありがとうございます!国見ちゃんいいですよね!実は少しだけ国見ちゃんエピソードも用意しているので、読んで頂けたら嬉しいです! (2021年2月1日 0時) (レス) id: 4b3554dc38 (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - まこさん» とても多くのお言葉ありがとうございます!私の方が感動してしまいました!こちらこそまこさんのコメントに毎度心を癒されています、この場を借りてお礼を言わせてください! (2021年2月1日 0時) (レス) id: 4b3554dc38 (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - 陽愛さん» 今回は侑君でしたね!角名君も出てきますので少々お待ちを! (2021年2月1日 0時) (レス) id: 4b3554dc38 (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - 善さん» こんな子が実際にいたら恐ろしいですよね… (2021年2月1日 0時) (レス) id: 4b3554dc38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ツナ | 作成日時:2021年1月5日 15時