殴ったら惚れられた 2nd【宮侑】【角名倫太郎】

30 告白 ページ32

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｢この、動画.....偽物です、わ、私が作りました.......っ｣






彼女の持つスマホから流れたのは、以前すみれちゃんが見せてきたあの動画








＊＊＊


6時間目のホームルームの時間が余ってしまい、どうするかなと担任がぼやいたところ



｢あ、あの.......｣




浜田さんが、消えそうなくらいの小さな声で手を挙げた

浜田さんは、私が前にぶつかってしまった映画研究部の女の子で
機械系が得意らしく、合成やCGはお手の物らしい


そんな彼女がみんなの前に立つなんて、今まで一度も無かったし考えられないことだったから、とても皆驚いた






｢これ.......｣






浜田さんはケータイを取り出し、動画の再生ボタンを押す




ケータイから流れてきた音声に耳を疑った

なぜならその動画は、前に水飲み場ですみれちゃんが私に見せた、私がすみれちゃんの悪口を言っている。という内容の動画

もちろん私は言っていないし覚えがない




けれどなんで、この動画を.......？





すみれちゃんの方を振り向くと、口角が少し上がっている

なるほど、みんなの前で流して同情してもらうためとか......？








｢この、動画.....偽物です、わ、私が作りました.......っ｣








｢.......は｣






なんだって？






その時、後ろで誰かが椅子から立ち上がる






｢何、言ってるの.......？｣





すみれちゃんだった
先程の余裕は無く、焦っているように見える






｢野原すみれさんに、脅されました.......信じて貰えないかもだけど....っ｣







急すぎる驚愕の事実に、私達は呆気に取られる

担任の先生でさえ、口を挟めない状況だ






｢何、言ってるの....！？浜田さんもすみれを嵌めようとしてるの？｣





も、ってなんだもって。






｢上手く行ったら叔父に言って映画研究部の廃部を阻止するって言われて.......っ、それで、目が眩んで、
私、音声の合成とか得意だから、似た音声を探してとって、調整して.......っ
それと、LINEの田中さんが野原さんに脅しのメッセージを送ってる画像も作りました...｣





ごめんなさい！と頭を下げられる






｢いじめられてる田中さんを見て、日に日に罪悪感で耐えられなくなって.....！許される事じゃないって分かってます、でも、本当にごめんなさい.......！｣






更に、






｢あの.......！僕も！｣






次に席を立ったのは、私を視聴覚室で襲いかけた空野君だ

息を荒らげて震えている

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