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手に汗握るとはまさにこのことで。
士道くんが一人で笑い出したりなんだかヤバそうな領域に入ったと思ったら、




『うそ……』




そのままシュートが決まり、なんと追い越されてしまった。
アンダーチームが、一点リードした……



サッカーはバスケのように秒刻みで点が入ることは無い。
故に一点がとても重い。簡単に巻き返せるわけじゃない。

それらを含め"リードされた"という事実は、選手たちのプレッシャーに大きくのしかかる。


ただでさえ経験値で劣勢を感じてるというのに、これ以上は負担がかかってしまったら……





「A、俺のことはいいから。試合見てこいよ」




氷袋を手に持ったまま固まる私を見かけてか、千切くんが仰向けになりながら言う。




『でも、』





私も簡単にここを離れる訳にはいかない。千切くんの足は、疲労でピークを越してしまったのだ。





「俺なら大丈夫。それにアイツらだってAに見られてた方がやる気出るだろうし……。だから、行って」





これは没収なと、袋を奪われる。




『千切くん……』





じゃあ、ありがとう。

そう言って、私は再び席へと戻った。






試合に置いてかれなくなかったものスコアを書かなくてはいけなかったのもあるけど、一番は千切くんの熱い眼差しに逆らってはいけない気がしたから。


恐らくもう試合に出ることは出来ないであろう彼の、必死な想いから目を背けることは出来なかった。












残り30分を切った頃、奪われたら取り返す激しい攻防の末、ディフェンスを振り切りゴール前に飛び出てきた馬狼くんの、弾丸のようなシュートがネットに刺さる。



同点だ……!





「うぉおおおおあああ!」




直後ユニフォームを脱ぐのはちょっとよく分からなかったけど、これには私も叫ばずにはいられなかった。

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ごりらに憧れてます - ちょっと控えめに言って神です。語彙力めちゃ高ですし……小説家なれると思います。応援してます!!最高でした〜 (1月19日 7時) (レス) @page43 id: 930e13de40 (このIDを非表示/違反報告)
黎明(プロフ) - 話の構成が上手すぎて引き込まれました…!神作品を有難う御座います! (10月10日 13時) (レス) @page22 id: 96c5df6fb7 (このIDを非表示/違反報告)
時雨、ときどき猫。 - 私、最後の「彼との幸せな〜」を呼んだ瞬間、大泣きしました。枕に顔うずめてたら親に笑われました(笑)本当に心が温かくなる話でした!これからも投稿頑張ってくださいね! (6月5日 21時) (レス) @page49 id: 5c49e2991a (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - すっごい泣きまた!本当に素晴らしい作品をありがとうございます! (5月21日 0時) (レス) @page49 id: e67944ae95 (このIDを非表示/違反報告)
ヒラコ - 素敵なお話をありがとうございました。ツナさんの暖かい気持ちに感動しました。生きることは決して楽しいこと、美しいことばかりではないけれども、それらはいつか糧となり実を結ぶのだと思います。私もいつか生きていて良かったと思える日が来るよう今を生きます。 (2023年4月2日 2時) (レス) @page49 id: 488b484064 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ツナ | 作成日時:2023年1月28日 16時

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