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死に損ねた。正確に言うと、死ななかった。
今回私に舞い込んできた二級呪霊の討伐、それには大きな誤りがあった。
対象の二級呪霊は実はただのダミーで、そいつは本体の分身に過ぎなかったのだ。
産土神だ。
凄まじいほどの呪力に圧倒されそうになる。私を殺すはずだった二級のやつはあっという間にそいつに飲み込まれて、というか自ら口に飛び込んだ。
初めて対峙する合体するタイプの呪霊に、思考が止まる。
この山には古くから伝わる神社があるから産土神がいるとは聞いてたけど、報告書にはもう祓ったって書いてあったはず
まさか分身が生きてたなんて……!
死のうと思ってここに来たはずなのに、いざその呪霊を前にしたら考えるよりも先に身体が動いていた。
やっぱり死にたくないと思い直すほど人生に希望を抱いていない。ただ、死ぬのは無理でも逃げることは出来るんじゃないかって
むしろ、逃げる方がいいんじゃないかって。
この土壇場になって、頭がハイになってから思いついた。どうして今までその考えが出なかったのか自分を責めたくなるくらい、新たな道を見つけた私の動きはかつてないくらい俊敏になる。
しかし相手は土地神、準一級の私が楽々倒せるほどヤワじゃない。
攻撃を交わしきれず小指に激痛が走った。見てみると、第一関節から先がない。
『っ、』
一秒でも止まれば死ぬ。
間合いを詰めすぎても死ぬ。
さっきから攻撃の残穢を微量に浴びてるせいで、既にあちこちに傷が出来ている。口の中に鉄の味が広がって不味い。
ずっと激しく動いているせいで視界も霞んできた……
以前東堂くんに指摘された通り私は体力がないから消耗戦は向いてない。
どこか、一発で仕留めなければ……
その時だった。
四方八方に動く私を追っていた呪霊の重心が、左に大きく傾いた。
今だ
私は、手に持つ呪具をそいつの首元にありったけの力を込めて突き刺した。
小指を吹き飛ばされた時よりも大きな爆発音が鳴り、気づけば私の身体は宙に浮いていた。
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ミルクティー - 泣いた… (2023年3月10日 18時) (レス) @page38 id: e98fa1655a (このIDを非表示/違反報告)
みは - うわあああすきです!!!更新頑張ってください!!!!! (2023年2月23日 11時) (レス) id: 48943adb31 (このIDを非表示/違反報告)
ツリー(プロフ) - うおおおお!!!!あの作品だったのか!!!!これからも応援してます!!! (2023年2月13日 0時) (レス) id: 8393590549 (このIDを非表示/違反報告)
魑魅魍魎 - ヤバイ、、、めっちゃ好きです!! (2023年2月12日 23時) (レス) id: 0529b76d34 (このIDを非表示/違反報告)
危険因子…テスト期間につき更新停止中(プロフ) - 話の流れがめちゃくちゃ好きです…。影ながら応援しています (2023年2月12日 22時) (レス) id: 6eb434b1d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ツナ | 作成日時:2023年2月3日 17時