マネージャーが消えた【ブルーロック】

＊ ページ28

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物心ついた時からずっと、消えてしまいたいとは願っていた。
満月が出たらいつも手を合わせていたし、水の中で息を止めることもしょっちゅうやった。結局苦しくなって上がってしまうのだけど……。



それが17歳になり、非術師が生きる普通の人生を知って、ある程度現実を達観できるようになってからよくやく私は自分の置かれている人生の悲惨さを知った。
誰かの名誉のために生まれ誰かの力のために死ぬ人生。
好きでもない人との子供を作らされて、用が済んだら空き缶のように捨てられる。



あれ、私なんで生きてるんだろうって。



もちろん、辛いのは私だけじゃないということもよく知っていた。真希ちゃんたちも私と同じく禪院家で酷い目に遭ってきたし、加茂くんもお母さんのことで心痛めている。恵くんも親に蒸発されてるし。



でもみんなにはちゃんと、生きる理由がある。



真希ちゃんは真依のため、加茂くんはお母さんのため、恵くんはお姉さんのため。




私には、その理由である大切な人がいなかった。




だとしたらもう、生きてる意味無くない？って。
それにこの先生きていたって今よりもっと辛くなるだけ。


『(あ、死のう……)』


それならもう死のうって。






そう決心した時、ちょうど任務が入り込んできた。


二級案件。神社に取り付く呪霊のお祓い。


ここしかないって血が騒いでいた。死のうとしてるのに、身体中の血液が沸騰するような変な感じ。






『楽しみだなぁ…』



「え？なにが？」



『ううん、なんでもないよ霞』







あぁ、やっと逃げられる。

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