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禪院直哉といえばどんな人か、考えるだけで吐き気に襲われる。
男尊女卑の思考がバカバカしいくらいに脳にこびりついていて、呪霊が見えないという自分よりも10歳くらい年下の女の子を平気で殴ったり蹴ったりするこの世のクズ。


もちろん私も暴力を振るわれた。術式を持たない時代、彼の部屋に給仕に行ったら能無しが何見とんねんと5、6発くらったことがしょっちゅうある。


だがそれも、私が例の術式を開花させてからは180度変わった。

気持ち悪いほど優しくなったし、私が成長するにつれて気持ちいくらい触られた。



高校生なったら行為を強要されることもあった。遊ぶ相手なら沢山いるくせに、貴重な禪院家遺伝子の無駄打ちやとか言って私にばかり迫ってきた。何が無駄打ちだ、そのまま枯らしてしまえとその時は逃げたけど、どんなクズでも婚約者に拒否されるのは面白くなかったらしい。


高2の春、強制的に籍を入れられた。本当は高校を卒業してからという話だったけど、私があまりにも逃げるから外堀を埋めてしまえという策略だった。


高専を出たら、毎晩をあのクズと過ごす。
そして嫌いな人との子供を産んで、産んで産んでよくやくもう産めないとなった時に捨てられる。

その時私はもう心身ともにボロボロで、きっと普通の女として生きることを諦めていて。
楽しいことなんかひとつも無い。きっと、そんな人生を過ごすんだ。





朝が来るにつれ、彼の元へ嫁ぐ時間が短くなっていく。
その度絶望に襲われていたが、それでも幸せはあった。




桃と真依と霞と4人で話す時間が好きだった。東堂くんに連れてってもらったアイドルの握手会で、初めての都会に人酔いしたのも新鮮で楽しかった。

真希ちゃんが、私がぜってー禪院家ぶっこわすからと言ってくれる度泣きそうになった。

交流会で出会った恵くんと仲良くなれて、この人が婚約者ならいいのにと思ったりした。毎日メールでやり取りして、たまに電話するのが幸せだった。






幸せだったからこそ、向き合う現実が余計辛く思えた。


このまま生き続けていても、先には絶望が口を開けて私を淡々と待っている。




死にたい





ただ漠然と、そう思った。

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ミルクティー - 泣いた… (2023年3月10日 18時) (レス) @page38 id: e98fa1655a (このIDを非表示/違反報告)
みは - うわあああすきです!!!更新頑張ってください!!!!! (2023年2月23日 11時) (レス) id: 48943adb31 (このIDを非表示/違反報告)
ツリー(プロフ) - うおおおお!!!!あの作品だったのか!!!!これからも応援してます!!! (2023年2月13日 0時) (レス) id: 8393590549 (このIDを非表示/違反報告)
魑魅魍魎 - ヤバイ、、、めっちゃ好きです!! (2023年2月12日 23時) (レス) id: 0529b76d34 (このIDを非表示/違反報告)
危険因子…テスト期間につき更新停止中(プロフ) - 話の流れがめちゃくちゃ好きです…。影ながら応援しています (2023年2月12日 22時) (レス) id: 6eb434b1d5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ツナ | 作成日時:2023年2月3日 17時

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