潔世一の証言 ページ15
’
『潔くん、ほっぺにご飯粒ついてるよ』
丸みを帯びた目が、ふわりと垂れる。今まであまり女子と関わってこなかった俺にとって、Aさんという人物は誇張なしに言っても聖女のように見えた。
春の暖かい風のような優しい笑顔に数秒目が奪われる。
気づいた時には、Aさんの綺麗な手が自分の顔に伸びていた。
「あ、う」
『はい、取れた!』
ありがとう、って爽やかに言いたいのに声が詰まって出ない…!
出そうと思えばまた、あだかうだか赤子の呻き声みたいなのが漏れてしまう。そんなのかっこ悪い。
ってか俺、女子に耐性無さすぎだろ……
いや、この場合は相手がAさんだからか……?
同い年とは思えないくらい綺麗だから、こんなにドがつくほど緊張しちゃうのかな
それに比べて蜂楽とかすげぇよな、コミュ力高すぎ。なんであんな和気あいあい〜みたいな感じで自然に話せるんだよ羨ましい……
でも、俺だって……!
『この時間はやっぱり食堂来る人少ないね〜。
でも潔くんが居てくれてよかった!誰かと食べた方が美味しいもんね。一緒に食べてくれてありがとう』
「あいや、ぜんぜ、オレこそ」
うん、無理だ!
諦めよう。今の俺にはAさんとスムーズに話すことは不可能だ。だとしたら俺は俺なりに仲を深めていくしか……!
「あ、あのさ「おい」え、凛?」
顔怖!!つかお前また、Aさんが他の人と話してたからって邪魔しにきやがって……っ
『糸師くん!どうしたの?』
「……」
あ、特に用はないんだな。
てか前々から思ってたけど、凛ってやっぱりAさんのこと……
「シュート練するから、手伝え」
『えぇ、私今ごはん食べてるんだけどな』
「もう食い終わんだろうが。一口でいけ」
『もう、わかったよ。あでもちょっと待ってね、潔くんが話しかけてくれてたから』
ごめんね、なんだった?と輝く瞳が問いかける。
477人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミルクティー - 泣いた… (2023年3月10日 18時) (レス) @page38 id: e98fa1655a (このIDを非表示/違反報告)
みは - うわあああすきです!!!更新頑張ってください!!!!! (2023年2月23日 11時) (レス) id: 48943adb31 (このIDを非表示/違反報告)
ツリー(プロフ) - うおおおお!!!!あの作品だったのか!!!!これからも応援してます!!! (2023年2月13日 0時) (レス) id: 8393590549 (このIDを非表示/違反報告)
魑魅魍魎 - ヤバイ、、、めっちゃ好きです!! (2023年2月12日 23時) (レス) id: 0529b76d34 (このIDを非表示/違反報告)
危険因子…テスト期間につき更新停止中(プロフ) - 話の流れがめちゃくちゃ好きです…。影ながら応援しています (2023年2月12日 22時) (レス) id: 6eb434b1d5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ツナ | 作成日時:2023年2月3日 17時