【完】だれも見てくれなくても【ブルーロック】

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そういえばなんかのドラマで見たんだよな。洗濯機の中で、生首が回ってるシーン。

襖の隙間から、一瞬見えたシーンがそこだった。




私を抱いてるコイツの首も回せたらいいのにって、あの時は思ってたっけ。







「あーやっぱり回しちゃってる！うわ、やらかした……！」


『…い、さぎくん……どうしたの？』


「あ、いや実は洗濯入れにタオルとスーツ入れんの忘れててさ〜……でも大丈夫、明日また入れておくから！」


『別に、今日洗っちゃうけど……』






って言うかそのためにここに来たんじゃないの？
私に、頼むために……





「えっ？いやいいよ！だってまた回すことになるっしょ？ここの洗濯機デカいから時間かかるってヒナ言ってたし……申し訳ないよ！」

『そんなこと、考えてたの……？変な人』

「へ？」

『あ、いや、私たちはそれが仕事だからさ。いいよやる』





やば、口が滑った……

どうにか話を軌道に戻しつつ、スーツとタオルを受け取る。というか奪い取る。





『別に、第2弾もあるから。気にしないで』






そうやって、変に遠慮された方がめんどくさいし。
扱われるのは、慣れてるから。




「でも、」

『わざわざありがとう。明日もあるから、もう休んで』






それだけ言って、また洗濯機の前に座り直す。

この時間が好きだ。
回る洗濯機をずっと見てると、現実の何もかもを忘れて無心でいられる気がする。
それに誰にも邪魔されないし。





そんな心地いい時間も、洗濯機が止まると終わる。

でも今日は2弾目もあるから。スーツとタオルだけだけど。




『……それだとすぐ終わっちゃうかな』




ついでだから、自分のジャージも洗っちゃおう。……あーでも寒いから、上だけでいっか。あと靴下ね。


よし、スイッチオン






……そういやあれ、なんのドラマだったんだろう。
テレビなんて見させてもらえなかったから、わかんないや







「……っは？」

『あ』





終わった。露出狂として追放されるかな。

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