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母が死んだのは、12歳の時
母は轢き殺された。相手はサッカーの中継を流しながら運転していたらしい。
間もなくして、母が死んだ噂を嗅ぎつけた父がやってきた。うちは母の両親は他界していて父も実家とは絶縁状態だったから、どこで母のことを知ったのかは今でも分からない。
ただひとつ言えるのは、父はどうしようも無いクズ男だということ。
私がまだ幼い頃、母を朝から晩まで働かせては金をふんだくって酒と煙草に使う。足りなければ殴りそして蹴る。
押し入れの中で布団を被って耳を力いっぱい塞いでも、父の怒鳴り声は頭に響いて。
母が虫の息になった頃、私を殴りに来るんだ。
今でも忘れない、泣き叫んでいた母が急に静かになった恐ろしさ、父の足音がこちらへ近づく時の心臓の速さ、私が全力で抑えていた襖が、簡単に空いてしまうあの絶望の瞬間
引きづり出される時の、畳と服が擦れる音
あんなクズでも唯一良いと言えたのは、ある日突然女を作って帰ってこなくなったところ。
母と二人の、平穏な日々をもたらしてくれたとこ。
ただ、それだけだったのに……
「おー、やっぱりな。アイツに似ていい女になってきたじゃねぇか」
父はそれすらも、ぶち壊してきた。
母が死んで身寄りのいなくなった私は、唯一の血縁者である父に引き取られ
「あんだいこの子は。ふてぶてしくて可愛げがないねぇ。……でもまぁ、いい金にはなるか」
再婚相手である義母にボロ雑巾のように扱われ
「貧乏だったくせに一丁前にいい身体してるからね。生意気だよほんとに」
そして、金を稼がされた
「あんたさ、生きてて死にたくなんないの?私なら絶対無理だわ、あんなキモイジジイ共に抱かれるとか」
義理の妹に馬鹿にされても、耐えて、我慢して。
全ては生きるため
母が産んでそして大切に育ててくれたこの命を、絶対に無駄にはしなくなかったから。
だから何でもやった。アイツらが、私が稼いだ金を持って蒸発するまでは。
私と、義理の妹を置いて。
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moyu(プロフ) - それとこの小説最後まで読ませていただきました🙇とても面白かったです。素敵な小説をありがとうございます🙇✨ (9月6日 7時) (レス) id: d9453b28eb (このIDを非表示/違反報告)
moyu(プロフ) - プリ小説というアプリで、この小説と同じタイトルと内容で作られた日時がこちらの小説よりも遅いものが投稿されていて、パクリなのではないでしょうかと思いコメントさせていただきました🙇余計でしたらすみません💦 (9月6日 7時) (レス) id: d9453b28eb (このIDを非表示/違反報告)
楽夜 - 絵心…いいこと言うやん!タマニハ。。。 (5月22日 20時) (レス) @page45 id: e32b518303 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - 絵心さん・・・・めちゃめちゃいいこと言うじゃないですか! 泣いちゃいますよ (2023年3月3日 15時) (レス) @page44 id: fc65f8a88c (このIDを非表示/違反報告)
若葉 - 私の妹がヒナって名前で草 (2023年2月27日 9時) (レス) id: 7981b3d9d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ツナ | 作成日時:2023年1月1日 19時