私には無関心だったのに【五条悟】

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この子は私が悟の婚約者だって知らなかったんだと思う。
悟の言葉を聞いてとてもびっくりしていた。

子犬のようなまん丸い目をいっぱいに開いてる。





「だから悪いけど、狙うなら他当たって」


「は？ちょっと何言って……」





マジで何言ってんの？この子はただ、私が怪我してるの見て絆創膏くれただけなのに……


って、あ行っちゃった…！





「もう、ありえない」

「は？ありえねーのはどっちだよ。少し優しくされただけですーぐ惚れるとか……痛すぎ。自分の立場弁えろよな」

「痛いのはそっちでしょ？何わけのわかんないこと言ってんの？別にあの子はただ靴擦れした私を心配しただけなんだよ」

「どーだか。ああいう無害そうな奴に限って案外狙ってたりすんだよ」

「馬鹿じゃないの……あぁもう最悪。せっかくいい子だったのに」

「…さっきからしつけぇんだけどさ、何、浮気？随分オープンだけど喧嘩売ってんの？」

「はぁ？いい加減にしてよ。さっきから勝手に一人で勘違いして意味わかんない」






それに……っ






「浮気してんのはそっちでしょ…！私知ってるから、レイラちゃんがうちに来てたの」


「だから何？ただ入っただけだろ。それがなんで浮気になるわけ？」





キレてるからか190センチの圧をいつもより強く感じる。
気づけば私の後ろは壁で逃げ場を塞がれてしまった。





「お前は俺以外男経験無い可哀想な女だから知らねぇだろうけどさ、普通はそんなことで浮気になんないんだよ」





恥かく前に学んだほーがいいよ？なんて煽られて、私は怒りが込み上げるのと同時に自分でも知らない内に握った拳に爪を立てていた。先がくい込んで痛い。でもそれすら気にならないほど、今は腹が立ってしかたない。



怒りは発散しないと爆発すると言うけれど、今まで溜めていた鬱憤だとか文句だとかが全部、ストッパーが外れたように溢れ出てきた。





「何なの……そうやっていつも馬鹿にして、見下して…！」

「いや、何真に受けちゃってんの。ヒス？こっわ〜
これだから本命処女は……」





声を震わせないようにするのが精一杯だった。
でも噛んだ唇は段々と震えてしまう。





「私だって……なりたくて可哀想な女になったんじゃない！他の人と付き合えるなら付き合いたかった…！」





家柄なんて捨てて、術式に囚われない世界を生きて、普通の人と出会って





「普通の、結婚がしたかった……」

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