やさしく蝕んで【諸伏景光】

少しずつ、染め上げる ページ10

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僕には、世界で1番愛している彼女がいる。

可愛くて可愛くて仕方なくて、ほんとに食べちゃいくらい。
出来ることなら誰にも見せたくなくて、許されるのならずっと檻の中に入れて閉じ込めてしまいたい位、本当に可愛いんだ。




初めて彼女と出会った時、僕の世界は変わった。


彼女以外の女性は皆、塵と埃に見えてしまうくらい、僕は心を奪われた。別に他の人が嫌いだからそう見えるんじゃなくて、自然と脳内で塵や埃に変換されてしまうのだ。
その日から、Aちゃんしか僕の目には見えなくなった。




焼き付くようなあの衝撃は、多分一生忘れない。
彼女を見た途端、それまで忘れていた恋心が突如目覚めたかのように、ただ一心に彼女に向けられ、段々と莫大なものへと変化していった。
もはや恋なんか容易いものじゃくくれない。
この気持ちはもっと尊くて、もっと神秘的なものなんだ。
誰にも分からない。誰にも分からせたくない。
僕だけが、彼女を知っていればいいのにって何度も思った。
だから裏で手を回して、彼女に近づく男は他の女性と付き合うよう手を回したり、とにかく牽制しまくったっけ。






どうしたら彼女と付き合えるのか考えた。
まともにアプローチしただけでは、多分心を根こそぎ掴み取る事は出来ない。
ただの恋仲になっては意味ないんだ。彼女の全てを、手に入れなくては意味がない。
そのために、じんわり、ゆっくりと距離を縮めていった。
心に秘めるドス黒い気持ちを悟られぬよう、やさしく、その身体を蝕んでいく。
ようやく全身にその黒さが広まった頃、好きと伝えた。




付き合ってからはもうやり放題。
その名の通り、彼女を彼女の身体が許すまで抱き潰したし
ほかの男何かとは目も合わさせない。話すなんて以ての外。



何度も想像した裸体は想像よりも遥かに白く、美しく、柔らかく。酷く感動したのを覚えている。



この身体を、これからもっと黒く染めるんだ。
僕の事しか考えられないように。
僕の事しか見えなくなるように。




……そのためにまずは、少し、怖がらせてあげないと。

気づいたら時にはもう遅いんだよ→←ほら、正義のヒーローの完成だ

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