いるのは分かってた ページ1
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教官に頼まれ倉庫に向かった私は、全くとんでもない目に遭った。
まず最初に、何故か電気スイッチが壊れていた為、真っ暗な視界の下で何かにつまづいた。
そしてその拍子に身体ごと棚と壁の間に滑り込み、全身の鈍い痛みに悶えながら抱えようとした膝を折り曲げた。その時だった。
ガチャりと扉が開き、誰かが入って来たのは。
足音からして2人……
「ちょっと、何するの!」
「シー。黙ろうね」
声からして男女だ。恐らく恋人同士なのだろう。
教官の目を盗んで卑猥な事でもしに来たのか……?
2人は棚に隠れた私の存在に気づいていないらしく、出るに出れなくなってしまったことを後悔していると、男の地に這いつくばるような冷たい声が棚の向こう側から響いた。
「さっきは随分楽しそうだったね。そんなにかっこよかった?あの男の人」
「ちが、あれは別に何も…っ
ただ話してただけ、」
「言ったよね、僕。他の男とは目も合わせないでって。それでこの間も酷い目にあったのに、まだ分からない?」
「っごめん、なさい……もうしないから」
「ん〜、でもやっぱりちょっと信じられないんだよなぁ」
「守るから!守るって約束する!」
だからお願い、と必死に許しを請う女のか細く震える声が、この埃臭い室内に木霊した。
女は肩を棚に押し付けられているらしく、衣服の擦れる音が隣から聞こえる。
「分かった。今回は許してあげる」
「っほ、ほんと……?」
「うん。怖がらせてごめんね。もう行こうか」
「うん……ありが「あ、勿論お仕置はするよ?」
「……え?」
「当然だよね、悪いことしたんだもん。
今日は木曜だから……明後日か。あー、明後日が楽しみだなぁ〜。気絶するまで何回もつか、また試してみようか」
「いや…嫌だ……!ごめんなさいっ、許して」
「ふふっ。Aったら、泣いちゃってかわいー」
『ごめんヒロ君、ごめんなさっ』
ずりずりと引きずられて行く女は、部屋を出る最後まで肩を震わせて泣いていた
……何だかすごく、すごいものを見てしまった気分だ
倉庫に来ただけなのに。
[モブの証言]
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しろつめ - あ〜〜〜〜〜〜好きです理想の景光でした、最後まで不穏なのが良き……。完結おめでとうございます、面白かったです!素敵な作品ありがとうございました! (2022年5月25日 23時) (レス) @page13 id: a47367aeb2 (このIDを非表示/違反報告)
カイ - 完結おめでとうございます♪茹でガエルの法則…まさか?となって完結したのにまだまだ続きがみたいです〜笑 脳内でお話作りますね笑 (2022年5月25日 19時) (レス) @page13 id: 0f20f5cdbd (このIDを非表示/違反報告)
りお(プロフ) - 完結おめでとうございます!このみの作品で本当に面白かったです!素敵な作品ありがとうございました! (2022年5月25日 18時) (レス) @page13 id: 20b4499f90 (このIDを非表示/違反報告)
灰色(プロフ) - 完結おめでとうございます〜!!面白かったです…! (2022年5月25日 16時) (レス) @page13 id: 02fb3ffb1f (このIDを非表示/違反報告)
ツナ(プロフ) - いちごさん» こちらこそありがとうございました!お陰様で完結致しました! (2022年5月25日 16時) (レス) id: 4b3554dc38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ツナ | 作成日時:2022年5月21日 17時