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54episode ページ5





『えっ?あ、僕何か間違えてました?』



電話の向こうの男だけが、ただ一人この状況を知らなくて慌てていた。
当たり前っちゃ当たり前の反応なのに、面白くなった俺は更に笑えてきてしまった。



「ははっ、大丈夫っす。理解したんで」

『へ?』

「今から手紙取りいくんで、家の前にとかに置いといてもらっていいすか?」

『え?あ、はいっ、わかりました』





では。と男との通話が切れる






「りんどー、ちょっと出かけてくる」





家を出る時の俺は、どんな顔をしていたんだろうか。

笑顔……はないな。この胸の動機を考えると、
緊張かそれか興奮と言ったところだろう。


いや、もしかしたらどれも当てはまらないかもしれない。
サイドミラーでふと自分と目が合えば、鏡の中の俺は今まで見たことないくらいに神妙な顔つきをしていた。




今はちっとも笑う気分なんかになれない


それもそのはず。




12年間動かなかった時計が、やっと動きだしたんだ

この言葉の重みを考えたら、衝動で口すら動かなくなっていた。
俺はおかしくなりそうな頭を抑え、震える手付きで車を動かす。



時計の針は良い方向に動いたのか、はたまた悪い方向に動いたのか。それは手紙を見るまで分からないのが辛い。


もしこれがあいつの遺書だとしたんなら、俺はどうすればいいのだろう

このまま手紙を無視して見ない方が楽に決まってる。


だけど、見ないわけにもいかない





あいつに残された手がかりがひとつでも残ってるんなら、俺はそれを手に取らなくちゃ






「っ、……あった……」






手紙は律儀に紙袋の中に入っていた。
俺は礼の代わりに、この間買った新品未使用の時計を置いておく。





手紙をこの場ですぐ読むべきか、家に帰って1人で読むべきかすげぇ迷ったけど、やっぱり家で読むことにした。





ソファに座り、カバンからあの手紙を取り出す。

恐らく白だった封筒は、12年の年月を得たせいか少し色褪せているように見えた。





まぁそんなことはどうでもいい。






俺は手紙をくるっとひっくり返し裏にする。




すると本当に、"ブルドッグと同じくらい可愛い隣の席の女の子より"と書かれていた





「ははっ、根に持ってやんの……」





ポタリ、と雫が封筒へ落ちる。

手紙 上→←53episode



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月華-Ruka-(プロフ) - この小説見つけてぶっ通しで見ちゃいましたっ。めっちゃいい話でした😭😭😭めっちゃ好きですッ♡ (1月19日 1時) (レス) @page17 id: 93316f8902 (このIDを非表示/違反報告)
アップルパイ(プロフ) - もうなんだろう…泣くよねうん…最高の作品をありがとうございます😭 (12月7日 19時) (レス) @page17 id: 0ce3ef1535 (このIDを非表示/違反報告)
華恋(プロフ) - この作品に出会わせてくれたオススメ欄。ありがとうございます。作者様大好きです。お付き合いを前提に結こn() (8月14日 10時) (レス) @page18 id: 92a816f288 (このIDを非表示/違反報告)
りとぽん(プロフ) - 泣いたぁ好きっ (5月28日 11時) (レス) @page16 id: 8b386ed075 (このIDを非表示/違反報告)
ミウラ(プロフ) - こんなに深い話だと思ってなかった、、、!!この作品に出会えて良かったです。言葉では言い表せないくらいに最高でした!!! (2023年2月8日 19時) (レス) @page17 id: dabadaeb3b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ツナ | 作成日時:2022年1月15日 0時

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