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LASTepisode ページ16










「ちょっと蘭さーん!早く来てー!」


「あー?なんだよそんなに大声出して」


「この蓋!蓋が開かないの!」


「……あれ、俺開け方教えなかったっけ」








蘭はたらりと額に冷や汗を流した。


彼女がまた、物忘れをしたと思ったから。



薬が効かなかった、副作用が出るかも、彼女は0.1%側の人間だった……いや、遅れて副作用が出る新しいタイプかも。とにかくここままだとAが


色々な思考が混ざり合い、頭が混乱してきて、蘭は薬の投与を後悔し始めていた。



軽く見ていた、認知症という病気を……。









認知症は、1度患ってしまったら治ることはほぼないと言われている。






大いに発展した現代の医療でさえ、早期発見や薬で症状を遅らせることはできたとしても、完全に進行を止めることは出来ない。

着々と記憶を消し去っていく、恐ろしい症状。







「え?いや違くて、蓋が固くて開かないんです!」

「……はぁああ……ったく、ビビらせんなよな」

「いいから、とっとと開けてください」








今回蘭がAに飲ませた薬も、これからの記憶障害を止めるだけで、決して今まで失った記憶が戻る効果は無い。




奇跡でも起きない限り、蘭のこと含め彼女が以前の出来事を思い出すことは絶対にありえないのだ。









「はいよ、空いた」

「どーも」

「いい匂いすんな。何作ってんのー?」

「ん〜」










しかし、奇跡は誰にでも起きる。











「オニオングラタンスープだよ」











彼女にだって、彼にだって。

奇跡は誰にでも起こりうるのだ。











「覚えてる?私の得意料理。あ、グリンピースもたくさん入れといたからね!」








「……え……?」



















「ただいま…灰谷くん」
















どうかそんな奇跡が、目の前のあなたにも起こりますように。












「A……?」


「へへっ。お待たせっ」








"私の事、見つけてくれてありがとう"










この、愛しいふたりのように。














─fin─

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月華-Ruka-(プロフ) - この小説見つけてぶっ通しで見ちゃいましたっ。めっちゃいい話でした😭😭😭めっちゃ好きですッ♡ (1月19日 1時) (レス) @page17 id: 93316f8902 (このIDを非表示/違反報告)
アップルパイ(プロフ) - もうなんだろう…泣くよねうん…最高の作品をありがとうございます😭 (12月7日 19時) (レス) @page17 id: 0ce3ef1535 (このIDを非表示/違反報告)
華恋(プロフ) - この作品に出会わせてくれたオススメ欄。ありがとうございます。作者様大好きです。お付き合いを前提に結こn() (8月14日 10時) (レス) @page18 id: 92a816f288 (このIDを非表示/違反報告)
りとぽん(プロフ) - 泣いたぁ好きっ (5月28日 11時) (レス) @page16 id: 8b386ed075 (このIDを非表示/違反報告)
ミウラ(プロフ) - こんなに深い話だと思ってなかった、、、!!この作品に出会えて良かったです。言葉では言い表せないくらいに最高でした!!! (2023年2月8日 19時) (レス) @page17 id: dabadaeb3b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ツナ | 作成日時:2022年1月15日 0時

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