62episode ページ15
‘
｢灰谷さ、さっきからどうしたんですか急に……｣
｢いいか、死にたくないなら聞いてくれ。
今からお前に、ある薬をやる｣
"この薬はアメリカの極秘製薬会社で開発されたもので、まだ政府には出回っていない。俺の組織が裏ルートで命からがら手に入れたもんだ。主な効果は損傷した海馬の修復で、記憶障害を持つ患者に使われる。実験で30人の認知症患者に飲ませたところ、30人中28人が薬の効果を発揮した。認知症の症状が止まったんだ。今までに失った記憶は戻ってないものの、新しく覚えたことを忘れることがなかった。料理もできたし電車にも乗れた。今までの日常生活に戻ることが出来たんだ。この薬は、そんな効果を持っている"
｢だが、リスクもある｣
"30人中2人が死んだ。薬の強い副作用によってな。合うか合わないかは飲んで見なきゃ分からないんだ。つまり、薬を飲んでも0.1パーセントの確率で死ぬかもしれない"
｢今ここで決めろってのも無理かもしれないが、頼むA、今決めてくれ……。時間があまりないんだ｣
寿命の短い患者ほど、死亡のリスクが高まると九井が言っていた。それに薬の期限もある。長いこと待ってはいられないんだ。
｢そんな、急に……全然、わかんなかったし……もっと簡単に言ってください｣
｢……死ぬリスクを背負って薬を飲むか、安らかに死ぬのを待つかってこと｣
俺は、お前が決めたことなら何も言及しない。
もし薬を拒んだとしたら、きっと海に捨てるだろう。
反社だからこそ手に入れられた薬だけど、いいさ、別に。
｢どっちもはダメ。どっちかよ……｣
｢え？｣
俯いたと思ったら、いきなり変なことを言い出したA
｢なに、それ……誰の言葉？｣
｢……わからない……でもなんか、すごく聞き覚えがあるの｣
暫く黙り込んだ後、Aは顔を上げて言った
｢私は──────｣
その瞳には、涙が溜まっていた
＊＊＊＊＊＊＊
反社だから、デキタコト
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1804人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月華-Ruka-(プロフ) - この小説見つけてぶっ通しで見ちゃいましたっ。めっちゃいい話でした😭😭😭めっちゃ好きですｯ♡ (1月19日 1時) (
レス) @page17 id: 93316f8902 (このIDを非表示/違反報告)
アップルパイ(プロフ) - もうなんだろう…泣くよねうん…最高の作品をありがとうございます😭 (12月7日 19時) (レス) @page17 id: 0ce3ef1535 (このIDを非表示/違反報告)
華恋(プロフ) - この作品に出会わせてくれたオススメ欄。ありがとうございます。作者様大好きです。お付き合いを前提に結こn() (8月14日 10時) (レス) @page18 id: 92a816f288 (このIDを非表示/違反報告)
りとぽん(プロフ) - 泣いたぁ好きっ (5月28日 11時) (レス) @page16 id: 8b386ed075 (このIDを非表示/違反報告)
ミウラ(プロフ) - こんなに深い話だと思ってなかった、、、！！この作品に出会えて良かったです。言葉では言い表せないくらいに最高でした！！！ (2023年2月8日 19時) (レス) @page17 id: dabadaeb3b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ツナ
| 作成日時：2022年1月15日 0時
