episode94● ページ4
’
｢A……どうして｣
気がつけば俺は、隠れていたことなんかとっくに忘れて二人の前にでてしまっていた
｢なんで、佐野がここに……っ？｣
Aはそんな俺を見て、目を大きく見開いた。
まるで図星を当てられたかのような表情で。
ショックだった
その後も、3人でどんな話をしたのかはあんまり覚えていない。
ただ、Aが絹に向けて発した叫びは、絹の言葉の信憑性を高めてしまったから
まさか、本当にAが……？
｢とりあえず、今日はもう俺たち帰るから……｣
多分、絹がこの場にいたら進む話も進まない
とにかく、まだ明確な証拠もない今、一旦冷静になる時間が欲しかった
お互いの為にも。
｢お願い待って……あのね佐野、今私、誰かにストーカーされてるかもしれないの！写真も家の前に置いてあってっ｣
｢ほらね、言ったでしょ。これもそうだよマーくん
Aちゃんはマーくんを引き止めるために、マーくんの興味を引くために、ありもしない嘘をつくって｣
｢嘘じゃない！ほんとなの……！証拠の写真だって…｣
あぁもうやめてくれ
俺もわけがわかんねぇんだ
混乱してるんだよ……きっとまともな判断も下せない
｢その写真だって、Aちゃんが誰かに頼んで撮ってもらった写真なんでしょ？乾青宗との写真も。ストーカーとか嘘つくために。｣
｢は？なんで……佐野！ほんとにちがうから！｣
どっちが本当で、どっちが嘘なんだ？
Aを信じたいのに、さっき聞いたAの叫が頭から離れねぇんだ
｢A｣
｢なにっ、佐野｣
｢もういいから｣
｢……え？｣
｢頼むから、今日はもうやめよう
A、きっと疲れてるんだよ｣
だから今はまだ待っててくれ
落ち着いて、もう一度ちゃんと話そう
何がどうして、こうなったのか。
Aはなんで、あんなことを言ったのか……
まずは3人とも冷静なろう
愚かな俺は、そう甘んじていた
あの時別の答えを出していたならきっと、
『え？なに？全然聞こえねぇんだけど』
｢誰か後ろに……家の近く……お願い｣
こんなことにはならなかったのに
『A……？おい、聞いてる？A？』
｢もう、だめ…｣
か細い声の後、電話の向こうで聞こえたのは人を殴る音と、
｢……これでAちゃんは、僕のモノ…｣
不気味な男の声だった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 7274人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
kanasimi - マジで泣けました！ 3回も!! 感動しました！ (2022年12月10日 2時) (
レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
桃菜 - 続き楽しみにしてます♪ (2022年4月19日 7時) (レス) @page45 id: 99859047d6 (このIDを非表示/違反報告)
たむら - 更新ありがとうございます！！今回もいいところで終わって...次回が気になりすぎますっ！！主さんのペースで更新していただけたら幸いです🙇♀️ (2021年12月2日 20時) (レス) id: e5799c3cbd (このIDを非表示/違反報告)
南(プロフ) - 更新ありがとうございますっ！！！気になる所で終わってるのも流石です。次回更新楽しみにしていますね(*^^*) (2021年12月2日 20時) (レス) id: db1b503228 (このIDを非表示/違反報告)
ツナ(プロフ) - コウさん» めっちゃ好きです！！笑 (2021年12月2日 8時) (レス) id: 4b3554dc38 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ツナ
| 作成日時：2021年9月30日 23時
