幼馴染に彼氏を奪われた【佐野万次郎】

episode39〇 ページ40

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プールに海に花火と、怒涛の夏休みも終わり
特に何も無い毎日が巡るように早く過ぎていった



気づけば季節もすっかり秋に変わり、相変わらず独り身の枯葉のような寂しい私と居てくれるのは






｢隆君……遅れてごめん！｣

｢いや、俺も今来たところだから。
そういえばAのおじいさんの欲しいもんわかった？｣







仲のいい友達として、お互いを呼ぶ名前が変わった

三ツ谷君は優しいから、佐野と別れた後の私をあれこれ心配してくれているのだ

現に今日も、祖父に買うプレゼント選びに付き合ってくれている





｢そういえば場地がさ、東卍抜けたんだよね｣

｢えっ！？場地君が！？｣






会った時にはこうして、最近の東卍の状況や彼らに対する愚痴なんかを話してくれるのだけれど、流石のこの知らせには驚いた

だって場地君って、佐野の幼なじみであの壱番隊の隊長だよね……





｢もう何が起きてんのか全然わかんねー。マイキーも元気ねぇしさ｣

｢そっか…｣


幼馴染が抜けたなら、そりゃ悲しいよね
大丈夫かな、佐野……


｢Aと別れてからだよ。喧嘩以外の時はもうずっと上の空｣

｢え？｣




私と別れてから……？
そんなはずない
だって佐野は、自ら絹ちゃんを選んだんだから……



｢マイキーもマイキーでさ、言いはしなかったものの結構悩んでたみたいなんだよな。ドラケンにも相談しないで、何か1人で溜め込んでる感じだったらしいし｣

｢そうなの……？｣

｢俺的には、あいつがAと別れてまで絹と一緒にいるのには、なんか理由がある気がするんだけど……｣




確かに、佐野の口から絹ちゃんを好きだとかは1回も聞いたこと無かった。けど、あんなに仲良いしお似合いなんだし絹ちゃん可愛いし、言ってないだけで佐野だって絹ちゃんが好きなはず……






｢…理由なんか無いよ。佐野は、絹ちゃんを選んだんだもん
ただそれだけで、他の理由なんか……｣




『お前に俺の何が分かるんだよ！
俺だって……俺なりに考えてたよ！』




｢ある……はず……｣





『じゃあどうすればいいんだよ！？』




｢……え？｣





あるはず、ないでしょ……？

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