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episode37○ ページ38





「おいおい、なんで泣いてんの?」

「あ、タカちゃん
なんか目に海水が入ったらしいよ」





見せて?と三ツ谷君に顔を隠す手を退かされた

目を合わせたくなくて視線を外してたら、ぽん、と頭にその大きい手を置かれる





「言いたくなったらなんでも言って。
全部聞くから」

「うん、ありがとう……」

「?あっ、マーくん!ってどしたのそのほっぺ!?」





え?とたった今来た佐野の方を見れば、左頬にはくっきりと私の手の後が残っていた

そりゃそうだ、あんなに強く叩いたんだから





「なに、どうしたの!?」

「絹、なんか冷やすもんちょーだい
蚊が居たから叩いたらこーなった」

「なにそれ、マーくんおばかさん」





絹ちゃんが保冷剤をハンカチに包んで頬に当てると、いって!と顔を顰める佐野

じわじわと襲ってくる罪悪感を噛み締めていれば、三ツ谷君からの熱い視線を感じた

それはなにかを察しているような視線だった




「あー、もしかして、そういうこと?」

「……うん」

「わお……」






やっぱり、三ツ谷君は察しがいい

鋭い人は苦手だ。私の心の狭さを見透かしてしまうから





「ま、Aちゃんの受けた悲しみに比べれば少ないくらいっしょ。あんな一撃」

「そ、れはないと思うけど……そうかな?」

「そーそー。それにあいつ喧嘩で殴られ慣れてるし。
Aちゃんの力じゃ全然痛くねぇよ。わかった?」

「うん……ありがとう」




な、泳ごうぜ。と手を出してくれる三ツ谷君の笑顔は、今も空に浮かぶ真夏の太陽のように眩しかった

その笑顔にどこか既視感を覚えたけど、それはすぐに分かった

佐野だ。佐野も昔、いつもその眩しい笑顔を向けてくれていた

その笑顔に何度、救われたことか。






「マーくん見て!ワカメがこんなに沢山あるよ!
味噌汁に入れられるかな?」

「ははっ、入れてみれば?」






今はもう、他の子に向いてしまったけれど。

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ジウ - 泣ける、、、_:(´ཀ`」 ∠): (2月23日 15時) (レス) @page18 id: 30bb11d55f (このIDを非表示/違反報告)
光 と 闇 - ちょっと怖かったです・・・。悲しくて、泣けます。 (2022年12月10日 2時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
杏子 - めっちゃ泣きました…でも絹って人ラブコメの良い役目を果たしていてちょうど良いラブコメでした頑張ってください!夢主ちゃんとマイキーが仲直りして幸せになるまでずっと見届けてあげたいです!お体気をつけてください! (2022年9月17日 14時) (レス) @page46 id: cca27223f2 (このIDを非表示/違反報告)
めろ。 - 小説で泣いたの初めてです……泣 (2022年7月14日 17時) (レス) id: 8fcd36f022 (このIDを非表示/違反報告)
星空(プロフ) - 小説で泣いたの久しぶりなんだけどぉぉぉ!!・゜・(つД`)・゜・ (2022年1月3日 7時) (レス) @page47 id: 6329fbc5cb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ツナ | 作成日時:2021年8月3日 19時

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