episode29● ページ30
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あの時1人で行くんじゃなくて、まずは警察に相談していたら
誰か大人を連れて行っていれば
もっと早く、じいちゃんか真一郎に相談していたら
こんなことにはならなかった。
なんて、後悔がいくつも襲ってきた
それから俺は絹をおぶって家に帰り、じいちゃんに全てのことを話した
絹の父親が警察に連行されたのはすぐの事だった
結局、精神的に問題があると見なされた父親は懲役12年が下り、母親は何も知らなかった事と虐待には関わっていなかったので罰金のみという結果になった
その後、父親もいなくなり母親と2人で幸せに暮らしていた絹だが
中一の中頃、母親が過労で倒れてしまった
療養する為にも、絹は祖母のいる福岡に引っ越すことを余儀なくされた。
表面は普通に見えていた絹だけれど、唯一虐待の事を知っている俺の前ではいつも本当の姿を見せていた
「マーくん……私にはマーくんしかいないの
だからマーくんお願い、絹を捨てないで……」
と、泣きながら静かに抱きついて来ることも多かった
絹は俺から嫌われる事をこの世で1番に怖がっていた
同時に、俺が絹のそばにいない事にも恐怖を抱いていた
だから引越しする時も、それはそれは泣き叫んでいた
そしてこっちへ戻ってきてからというものの、絹の執着は前より酷くなった
「マーくん……熱、出た
お母さんにバレたら怒られる……お願い、泊めて……」
絹の母親は、過労で倒れてから人が変わったかのように厳しく脆くなった
私がこんなに働かなくちゃいけないのは、全部お前がいるせいだ。産まなきゃ良かった。といつも言われていたらしい
虐待のことをやんわりだが知っているじいちゃんは、絹の事を本当の孫のように可愛がっていたから、よくうちに泊めていた
「マーくんしか頼れないの……お願い」
だけどこの時ばかりは断りたかった
昔ならともかく、今の俺にはAがいる。
いくら幼馴染でも、他の女を泊めたなんて聞いたらAはきっと悲しむから。
そうでなくても、明日はAとのデートだというのに。
けれど
「怖いよ、マーくん……」
あの日、父親によって残された肩の古傷を見て
泣きながら縋ってくる絹を見て
あの時守れなかったことを思い出した俺は
「………………分かったよ」
断ることが、出来なかった
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ジウ - 泣ける、、、_:(´ཀ`」 ∠): (2月23日 15時) (レス) @page18 id: 30bb11d55f (このIDを非表示/違反報告)
光 と 闇 - ちょっと怖かったです・・・。悲しくて、泣けます。 (2022年12月10日 2時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
杏子 - めっちゃ泣きました…でも絹って人ラブコメの良い役目を果たしていてちょうど良いラブコメでした頑張ってください!夢主ちゃんとマイキーが仲直りして幸せになるまでずっと見届けてあげたいです!お体気をつけてください! (2022年9月17日 14時) (レス) @page46 id: cca27223f2 (このIDを非表示/違反報告)
めろ。 - 小説で泣いたの初めてです……泣 (2022年7月14日 17時) (レス) id: 8fcd36f022 (このIDを非表示/違反報告)
星空(プロフ) - 小説で泣いたの久しぶりなんだけどぉぉぉ!!・゜・(つД`)・゜・ (2022年1月3日 7時) (レス) @page47 id: 6329fbc5cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ツナ | 作成日時:2021年8月3日 19時