幼馴染に彼氏を奪われた【佐野万次郎】

episode13〇 ページ13

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｢Aー！！！｣





翌日、友達が部活のため1人寂しく帰る私に突進してきたのは





｢エマ…！｣

｢ほんとにマイキーと別れたの！？
さっきあの絹って人が言ってきて…マイキーもなんにも言わないし……！｣





元々大きなお目目を、もっと大きくさせて私の肩を前後にぶんぶんと揺らす



やっぱり、別れたってことになってるんだ…






｢…うん、喧嘩別れって感じかな｣

｢そんなぁ…悲しいぃ……けど、Aには、マイキーよりも、もっといい人と付き合ってじあわせになって欲しいよぉ〜｣

｢ちょ、エマ……泣かないでよっ｣

｢マイキーと別れても…っ、ウチの友達でいてね？｣

｢当たり前じゃん！今も先もずっと親友だよ！｣






ほんと？と上目遣いがちで聞いてくるエマに、心臓がぎゅいんと痛くなる

龍宮寺君ったらこんなに可愛い子をほっといて喧嘩ばっかなんて……なんて勿体ない






こんなに素敵な子、いっその事私が貰ってしまいたい






｢じゃあエマ君、もう私と付き合おうか｣

｢え？いやウチAの事そーゆー目で見たことないから無理かな｣






ケロッと言い切るエマのさっきまで流していた涙はいつの間にか蒸発していた






｢あ、そ……じゃあ今日ちょっと付き合ってよ〜｣




行きたいお店があるんだよぅ、と付け足す




｢あーごめん！ウチ今日大人になる日だからさ！｣


｢なんだって？｣


｢じゃあね〜！｣


｢あ、ちょっと！｣





私のことなど振り返らず、たたたっと走り去っていくエマちゃん


は、薄情な奴……！


ていうか大人になる日ってなに！？怪しさプンプンなんですけど！


こうなったら尾行してやろうと思い、サングラスとマスクをしてエマの後を追っていたら





｢えっと……なにしてんのAチャン｣

｢………ナホヤ君……！？ちちがうの、これは……｣





苦笑いを浮かべるナホヤ君に、私はこの奇行に至った経緯を全て説明した





｢えっ、あんたら別れたの！？｣

｢いや、まぁ、うん……｣

｢何してんだよマイキー……まぁ、あいつ超天邪鬼だからさ、一時的に｢違うよ｣

｢え？｣

｢ほんとにもう、終わったんだよ…｣





だってほら、と向かいの皮膚科を指刺せば





なんて偶然なんだろうか





｢初めから、私なんか入れなかったんだ…｣

｢Aチャン…｣





そこには、涙を流す絹ちゃんを抱きしめている佐野の姿があった。

もう嫌だ、こんな悲しい思い、もうしたくないよ……

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